稲姫「応援、ありがとうございます。さすがに夏になると、弓の稽古も汗だくになってしまいますね」
 一息ついた稲が、弓を置いた。そして弓道着が衣擦れの音ともに床に落ちていく。
「あっ、あの……あなた様も汗をかいておいででしょう? 共に、行水など……」
 耳まで真っ赤になりながら、一糸まとわぬ稲があなたの腕に細腕を絡ませる。行水の前に寝室になだれ込んでしまいそうだが。
 その頃。お父さんは蜻蛉切で西瓜を八等分していた。
「うむ。稲にも分けにいくとしよう」
 逃げてー!




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