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弓姫二人 BADEND

「くああぁっ……」
 妲己の冷たい指先が、稲の温かな腸内にズブズブと潜り込んでいく。生贄の少女は腰を振り、わずかに拒絶の意思を示したが、それもすぐに止まった。膏薬をたっぷりまぶした指は、さしたる抵抗もなく根元まで侵入を果たした。
「はい、よくできました♪ ふふ、あなたは身体の中まで素敵よ。狭くて、温かくて、柔らかくて」
 肉付き豊かな桃尻を片手で撫でながら、妲己はねぎらいの言葉をかける。
「ア……ア……」
戯れに内側から爪でつつくと、稲の尻肉は小刻みに震えたが、答えは何も返ってこなかった。不浄の穴を支配された衝撃で、自分を閉ざしてしまったのかもしれない。
「さ、私にあなたのすべてをちょうだい……」
 妲己が口の中で、何事かを唱える。ほどなく稲の体内から、淡い光が生じた。それは指先から、妖婦の中へと吸い込まれていく。排泄とはまったく異質の、生命力を抜き取る行為が始まったのだ。
 十数年文武に励んだ乙女の、純粋な精気が身体に満ちてくる。妲己はうっとりと目を閉じた。
「いいわぁ……今までの女の子たちとは比べ物にならないくらい、強くて濃い力……」
 上から覆いかぶさり、乳房に脇から手を伸ばして、掌に包み込む。滑らかさや柔らかさは相変わらずだが、少し冷たくなっていた。稲の生命の灯火が、消えかかっていた。いや、いっそ事切れることができれば、まだ救われただろう。
「これくらいでいいかしら。あなたも、もっと生きたいでしょ? 生かしてあげる、私のそばで、ずっと」
 妲己が胸をそらせて息を大きく吸い込み、吐き出す。それに合わせるかのように、今度は何かどす黒い力が、純真な弓姫の中へと流れ込んでいった。かすかに残っていた精神性が、闇に塗りつぶされていく。
(父上……尚香……)
 稲姫の瞳から、光が消えた。

 儀式が終わると、妲己はさらに稲『だった』女体を可愛がった。すみずみまで舐められ、吸われ、撫でられ、所有物の証を刻まれた。
 それだけではない。稲の桃尻からは『尻尾』が伸びている。彼女の胸元を飾っていた数珠が、菊門に突っ込まれていた。もはや、父の記憶など、消えうせている。
「さ、古志城へ帰るわよ。あなたは永久に瑞々しいままの姿で、私に仕えなさい」
「はい……妲己、様……」
 尻尾を生やした肉人形は、魂が抜け落ちたような、虚ろな笑みを浮かべた。
 絡み合う二人の姿が、おぼろげになっていく。唇が重なった次の瞬間、寝室には誰の姿もいなくなっていた。

 こうして本多忠勝の娘・稲は異世界で妲己の生き人形と化した。忠勝や尚香が彼女と再会することは、二度となかったという。

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Written by◆17P/B1Dqzo