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家は持ち主に似る。蜀の丞相・諸葛孔明の屋敷は、その地位からは信じられないほど質素なたたずまいをしていた。その一室で、今日も彼は大計を練っている。もう一人の人間と、机上の地図を挟んで。
「孔明様。この部隊は、ここに配置する方が効果的だと思うのですが……」
細く白い指で地図を指差し、その者は涼やかな声で孔明に具申した。姜維でも、ましてや馬謖でもない。整った横顔に高い知性をうかがわせる、美しい女性だった。
「なるほど。よく気付きましたね、月英」
「いえ、そんな……」
月英と呼ばれた、その女の顔がほころんだ。
この月英こそ、かの諸葛孔明の妻である。万事夫を立てる貞淑な女性だが、孔明も一目置く叡智の持ち主だった。今のように、戦のことで孔明から意見を求められることすらある。
当代随一の天才軍師と、その眼鏡にかなった才女。日頃の彼らの振る舞いはきわめて理知的で、傍からは二人の夫婦生活がまったく想像できない。どちらかが性的に欠陥でもあるのではと、下司な勘繰りを入れる者さえいる。
やがて、孔明は地図をたたんだ。一定の結論に達したのだろう。
「……これなら、殿もご安心なさるでしょう。あなたの協力、感謝します」
「孔明様、お礼など結構……あっ」
月英が気付いたときには、夫に優しく手を握られていた。見る見るうちに、顔が朱に染まる。
「でも……もしお返しをしていただけるのであれば……」
もじもじする月英の胸中を察しているかのように、諸葛亮は軽くうなずいた。
「分かっています。私も望むところなのですから」
二人は見つめあうと、互いの腰に腕を回し、顔をそっと近づけていく。まだ陽も高いというのに、この夫婦は強く唇を重ねていた。
「んふうっ……ちゅっ……ちゅぱっ」
「あむっ、れろっ……」
その口づけも、互いの舌をとらえると貪るように絡め取った。静かな室内に、互いをついばむ音だけが響く。二人の口には、ねっとりした銀の糸がきらめいている。ついさっきまで軍略を語り合っていた女性が、今は夫を熱く求めてやまない。
孔明に愛されたい。一つになりたい。
公の場ではどうしても抑圧している想いが、二人きりのときは遠慮なくほとばしる。はじめは孔明も戸惑ったが、その純粋さが今は愛しかった。そして、それについ乗じてしまう。
「月英。あなたのすべてを、私に見せてください」
唇を離すと、孔明は静かに妻に命じた。
「はい……」
月英は、大きな格子窓を背にして立った。それからは夫の命じたとおり、自分の服に手をかけていく。
シュルッ……パサッ……
衣擦れの音と共に、足元に布の山が築かれていく。無造作に脱ぎ捨てるのではない。時には見せつけ、時には隠すように。孔明を愉しませる術を、
(ああ、孔明様……あんなに熱心に、私のことをご覧になって……)
自分の脱衣が夫の目を引きつけていると知り、月英の心はいやがうえにも浮き立った。服を着たままの男の前で、自分だけが裸体になっていく。その過程もまた、彼女の秘められた被虐心を高ぶらせる。
最後に、膝まである靴を脱ぎ、月英は素足を床につけて立った。
「……いかがですか、孔明様?」
均整の取れた裸体が白昼堂々、窓からの陽光を浴びて輝く。きめの細かい肌は、色の白さが際立っている。乳房は見事な発育ぶりを見せつつも、半球形の美しさが失われていない。頂点の色の淡さも上品なものだ。
孔明の細い目は、腰より下へと冷静に向かう。滑らかな下腹部の中には、今まで数え切れないほど子種を注いできた。末端の茂みは柔らかで、少々量が多い。
そして、すらりと伸びたメリハリの利いた生足をつま先まで鑑賞し、ようやく孔明は視姦を終えた。次は、その手で妻の柔らかさと温もりを確かめる。
「いつ見ても、美しいですよ。あなたが醜女だなどと、誰が信じるでしょうか」
かつて『不美人だが才女』という噂を流し、求婚者を集めたとき。孔明はもちろん、求婚者の誰もが、顔を見る前から
(嘘だ!)
と疑っていた。何しろ、醜女と噂をする人々の目がことごとく泳いでいたのだから。
孔明は着衣のまま、一糸纏わぬ月英をその胸に抱きとめた。そっと床に組み伏せ、わずかに汗ばむ肌に舌と指を這わせていく。左右の乳頭を交互に舐めしゃぶり、股の間では指がひっきりなしに秘裂をいじめる。繊毛の下の花弁は、はみ出しも少ない。
「んあっ! こ、孔明様、お上手です……」
ひんやりした床に美尻をこすりつけながら、月英は自らの秘所を孔明の指に押し付けていた。それに応えるように孔明は指で秘裂をくつろげ、内部粘膜まで可愛がる。
「ひゃうっ! そ、そこですっ、そこをいっぱいこすってくださいませえっ」
「ここですね。分かりますよ」
月英が切なげに訴える一点を、孔明は逃がさない。
孔明も場数を踏んでいるほうではないが、圧倒的な知識量はこんな場面でも存分に生かされていた。
「あぁああっ! も、もう、私っ……」
足指を頻繁に曲げ伸ばし、月英は快楽の波をこらえる。だが早くも前戯のみで、才女は最初の頂点に達しようとしていた。口から舌を飛び出させ、目をカッと見開く。
「あっあっあっ!? やだ、はひっ、ふああぁんっ!」
そして、孔明に今一度しがみつき、
「孔明さ、ま、アア――ッ!」
身も世もなく声を上げながら、ビクンビクンと裸身を震わせた。孔明の指先に、絶頂汁が何度も何度も、遠慮なく搾り出される。まるで、失禁したかのように。
「はひいっ、はひいっ……」
孔明は何も言わない。ただ、痴態をさらす妻の髪を優しく撫でてやるだけだった。彼女が落ち着き、思わず両手で顔を覆うまで。
「はぁ、はぁ……次は私が……」
「ええ。お願いしますよ」
余韻収まらぬ月英が、直立する孔明の前にひざまずいていた。その眼前には、まさに眠りから醒めた龍が天を向いている。そこに、奉仕しようというのだ。彼女だけ全裸ということもあり、見ようによっては主人と婢のようにも見えてしまう。しかし、それもこれも合意の上だった。
かつて甄姫に、病弱な亭主と笑われたことがあった。しかし、月英は気にも留めなかった。
(孔明様は、何者にも勝る立派な物をお持ちです。それを知っているのは私だけ……!)
「んああっ……はみゅっ」
はしたなく舌を伸ばし、口いっぱいに竜の頭を頬張る。
「ふーっ、ふうう、んむっ、じゅるっ、ぴちゃぴちゃあっ」
頬をすぼめ、舌をチロチロと雁首に這わせる。同時に、両手での玉袋愛撫も怠らない。この才女は、夜の営みでも倦むことなく己を磨いていた。吐き出される先走りの汁を尿道から吸い上げ、喉を鳴らして飲み込んでいく。夫以上に自分が興奮し、髪をかき上げつつ尻を振って悶える。
そんなものを見せられては、孔明といえども長く持つものではない。
「うっ……やりますね……しかし、私を収める場所は……」
その一言を聞くと、月英は名残惜しそうに口を離した。唾液と先走り汁にまみれた肉棒が、チュポンと音を立てて解放される。それを月英は、期待に満ちた目で見つめていた。
しかし、今日の孔明はいつにも増して月英を恥ずかしがらせたいらしい。
「こ、孔明様っ……これでは、そっ外から見られてしまうのでは……!?」
赤い格子窓をつかんだ月英が、不安な顔で背後を振り向く。孔明は羽扇を優雅にあおいだ。
「人には、思い込みというものがあります。夫婦の営みは、夜に行われるものだと。ゆえに、今あえて事に及んでみるわけです」
「し、しかし……あっ! あっ! んあおおぅっ……! 入ってくる、なんてぇ……!」
月英の異議は、孔明の実力行使によってさえぎられてしまった。白桃のような尻が、ぐっとつかまれる。そして待ち望んでいた物が、濡れそぼつ陰唇を割り開いて押し込まれてきた。
「お話は、それだけですか?」
「はぁああぁ……はい、はいぃっ……」
愛する夫の圧倒的な存在感の前では、理性の砦などもろいものだった。先端をしこらせた双乳を格子窓に押しつけ、首を何度も縦に振る。
「ああっ、孔明様ぁ! 激しい、すごく素敵です! もっと、月英を攻め立ててくださいませぇ」
孔明に突かれて、月英は声を限りに嬌声を張り上げる。そもそも、昼間から夫を誘ったのは彼女だった。夫と繋がる安心と、他人に見られるかもしれない不安で、いよいよ月英はたかぶっていく。結合部から湧き出る二人の体液は、床にトロトロと滴り落ちていた。
「はっ……ほうっ……」
誤解されがちだが、諸葛亮は不健康な半病人ではない。晴れた日は農作業にいそしんでいた彼は、その長身もあって見事な突きを繰り出す。それもがむしゃらではなく、妻のツボを知り尽くしたかのような動きだった。
知的な夫婦は本能を剥き出しにし、身も心も一つになっていた。そして、互いに待ち望む瞬間が来る。練りこまれた月英の肉襞が孔明の竜をしゃぶり尽くせば、孔明の竜は子宮口ギリギリまで先端を突き入れる。何も、我慢することなどなかった。
「さあ……すべてを、収めてくれますね……?」
「こ、孔明様のお子種……いっぱい注いでくださいませぇ! 私に、私に孔明様のお子を授けてぇ!」
「……おおっ!」
瞬間。諸葛亮からおびただしい白の波濤が浴びせられる。それは収まるべき場所へ流れ込み、いっぱいに満たす。
「ああ、来てます……孔明様の……精……あああ、ひぐっ、あはああ――っ!」
精を受ける至福が、月英を最後の高みへと引き上げた。格子を握りしめ、日頃の才女は一匹の雌となって咆哮を上げた……
「怖い思いをさせてしまいましたか?」
「そ、そんなこと……あぁんっ……ございません……きっと、孔明様が何とかしてくださると……んっ」
横たわる月英の火照った肌を、孔明は羽扇で撫でてやっていた。くすぐったさが絶妙な後戯となり、ときおり月英は裸身をヒクつかせる。
「私こそ、陽も高いうちから……まるで、病ですね」
「いいのです。国に尽くすことも、伴侶に尽くすことも、どちらも大事なのですから。そして、いつか私の子を……」
「ええ……孔明様にたくさん愛していただければ、いつか必ず……」
下腹を何度も撫で、月英は満ち足りた笑みを浮かべた。早くも、夜の営みに思いを馳せながら。
完
この物語のヒロインたちは、以下の作品にも出ています
月英×姜維
遠呂智の淫謀 月英編
Written by◆17P/B1Dqzo