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時代背景完全無視企画第2弾。バレンタインに愛する(片思い含む)女性から菓子をもらった(義理含む)男性陣はどうなる、いやどうする!?
曹丕「甄よ、この前はご苦労だった。遅くなったが、私も菓子など作ってみた。ふ……厨房に立つ経験も、覇道を継ぐ者には必要だろうからな」
背中に隠した両手には、無数の火傷と切り傷があった。夫婦揃って、意外に不器用である。
劉備「尚香殿、この度は私などのためにすまない。これは日持ちも良さそうだから、万が一の非常食にとっておくとしよう。ど、どうした、ため息などついて」
貧乏が骨まで染み付いた劉玄徳の辞書に、お返しという言葉はなかった。
孫策「よう大喬! この前の菓子、すげえうまかったぜ! けど俺はああいうチマチマしたのは無理だな……だから、この釣り上げてきた鯛がお返しだ! さあ、晩飯楽しもうぜぇ!」
しまった! 意外とまともでツッコミどころが作れない!
周瑜「小喬、この前の菓子は……その、実に君らしかった。しかし、もう少し手を加えればさらに美味しくなる。今日は私も一緒に、同じものを作るとしよう」
小喬の菓子を一口食べて、吐血したとかしなかったとか。
諸葛亮「月英、此度の菓子、見事です。私も負けてはいられません。菓子でできた、等身大のあなたの像を作ってみました。これで、敵の目を欺くこともできましょう」
食べ物を粗末にするのはやめましょう。いかに天才軍師とはいえ。
関平「せ、せせせ、星彩っ! 拙者に菓子など作ってくれるなんて! 手作りの礼は、こ、こ、子作……」
そして鼻血を噴いて昏倒。
呂布「貂蝉! 俺のために、こんなに美味いものを……うおおおぉ! 俺は、三国一の幸せ者だぁ!」
「……何、董卓にも無理やり作らされた? ぅおのれぇ、あの豚があぁ! 豚は豚の餌を食えと、教えてくれるわ!!」
例によって、貂蝉はほくそ笑むのだった。
孟獲「かあちゃん! どんなご馳走も、かあちゃんの手作りにはかなわねえな! ワシもでけえイノシシを生け捕りにしてきたからよ、今夜は丸焼きで宴会しようじゃねえか!」
まったく関係ありませんが、南蛮夫婦にまた会える日を楽しみにしています。
長政「市。この前の菓子は、たとえようもなくおいしかった。某も下手なりに、想いを込めて作ってみた。今度は一緒に、桜餅など作ってみようか」
いちゃつきまくる夫婦を遠くから眺める髭オヤジ一人。その手には、渡したくても渡せない下手くそな菓子が。
勝家「わ、ワシに菓子作りなど……似合わぬ……」
凌統「へぇ、あんたも意外に手先が器用なんだな」
慶次「暴れるだけが傾奇者だと思ってもらっちゃ、困るねえ。しかし、そっちのも美味そうだ」
凌統「悪いが、渡すと決めた相手がいるんでね。またにしてくれ」
慶次「はっはっは! そのお相手とやらが、かぶらないことを祈るぜ」
信長「お濃よ。信長に菓子を贈り、うぬはなにを望む? カステラか、金平糖か。それとも……ククク……」
言いながら、第六天魔王は南蛮渡来の菓子を次々に取り出す。
「フハハハ!」
しまいには高笑いまで始めた。皆さんは絶対に真似しないでください。
信玄「くのいちよ。この前はうまい物をもらっちゃったね。礼と言ってはなんだが、ワシと幸村で餅などこねてみたぞ? きな粉が飛び散らないように、気をつけてな」
この時代に桔梗信玄餅はありませんが……
尚香「稲……私なんかに、あんなに手間暇かけたお菓子を作ってくれるなんて。やっぱり持つべきものは友達、よね。え? 一緒に食べる? いいわね、じゃあ稲はそっちから、私はこっちから……んっ♥」
男に渡すという選択肢が頭から抜け落ちている稲であった。
義元「ァ千代殿、ァ千代殿。此度は菓子などいただいてかたじけない、の。まろも蹴鞠るついでに作ってみたの、の!」
差し出された京菓子は、様々な技巧が使われていた。流石である。これにァ千代の心が揺れた……か、どうかは分からない。
秀吉「ねね〜! やっぱりねねの作ったもんは天下一うまいわ! ワシも団子なんぞこねてみたでな。一緒に食おうや!」
三成「おねね様。何の騒ぎか知りませんが、山ほど菓子を送りつけるのはやめてもらえませんか? 朝昼晩食べても、まだ食べ終わりませんよ……」
孫市「日頃の礼? おいおいガラシャ、水臭いこと言うんじゃねえよ。でもま、ありがたくいただくぜ」
(ああ、世の女性たちは照れ屋だねえ。遠慮しなくていいのにさ)
その菓子が、今日唯一の収穫であった。
遠呂智「妲己よ、何をしている。その肌にへばりついたものを舐めてほしいのか? 良かろう、望みどおりにしてくれる」
蛇そのものの長い舌が、妲己の柔肌へと伸びていく。そして唾液を滴らせ、一舐め、二舐め……
Written by◆17P/B1Dqzo