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遠呂智の淫謀 序章

 二世紀末中国、魏・呉・蜀が天下を分けて争った三国時代。
 十六〜十七世紀日本、数多の戦国大名が天下統一を目指した戦国時代。
 国も時代もまったく異なる二つの世界が、ある日突然融合した。もちろん、自然現象などではない。
 世界を無理やり一つにした者は、自ら名乗った――『遠呂智(オロチ)』と。

 オロチ。その名のとおり、スサノオに倒された怪物『ヤマタノオロチ』が、人の形をとっている。
雲突くばかりの巨体と人間より遥かに高い知性、そして圧倒的な戦闘力を兼ね備えていた。
 遠呂智は数日にして古志の地に巨城を築き、本拠とした。すぐさま、近隣に侵攻を開始する。
人々は遠呂智と配下の化け物たちになす術なく屈した。ある者は逃げ、またある者は
下心を持って擦り寄った。古志城に貢ぎ物が続々と届けられる。金・珍品・女。
 遠呂智は事の外、人間の若い女に興味を持った。恋愛や性欲の対象ではなく、餌として。

「あぅ……くあぁっ」
 今も、献上された娘の一人が遠呂智の陽物に貫かれていた。玉座に座った遠呂智の腰に
乗せられ、激しく突き上げられている。
 肩まで伸ばした黒髪はよく手入れされ、肌は瑞々しくかぐわしい。肉付きも過不足なく
発育していた。
 衣服は何も身に着けていない。女の身体というものを調べるため、遠呂智が全裸に剥いた。
すでに、尻の穴の皺一つ一つまで触れられ、視姦されていた。対照的に、遠呂智は重厚な鎧を
着込んだまま、交わっている。
 その股から伸び、娘の可憐な秘裂に突き刺さっているのは、男根ではない。
 蛇。
 自らの意志で動く、生きた蛇だった。
 三尺(約1メートル)はあろうか。太さも、成年男子の標準を二回りは上回っている。
 前後に動くたび、無数の鱗が膣壁とこすれあう。破瓜ではない血も滲み出し、傍目にはかなり
痛々しい。
だが娘は悲鳴一つ上げない。目もぼんやりと開かれているだけで、遠呂智も何も目に映っていない。
恐怖のあまりか、術をかけられたのか、あらゆる感情が吹き飛んでしまったように見える。
 それからしばらくの間、遠呂智は娘を犯し続けた。生贄の反応はますます鈍くなり、
もはや生命が維持できているかどうかさえ怪しい。
 遠呂智は弱者にたちまち興味を失った。
「この娘も、もう終わりか。脆いな」
「ぁ……いや……」
 遠呂智が娘の額に掌をかざす。哀れな生贄は、たちまち霧となってこの世から消滅した。

「妲己よ。これでは、何人食おうと我が力にはならぬぞ」
 遠呂智が何者かに声をかける。いつの間にか、傍らに女が立っていた。
 蠱惑的な笑みを浮かべ、身体にぴったり張り付いた際どい衣装に身を包んでいる。
背丈は並だが、乳房がはちきれそうなほどに大きく美しい。生贄となった娘よりさらに白い肌の上に、
神秘的な文様が刺青されていた。それも、胸元や下腹部、尻に。見た者は欲情せずにはいられない、
そんな淫らさを漂わせていた。
『妲己』――三国時代よりはるかにさかのぼる殷王朝末期、その美貌で王を惑わし亡国へと導いた
希代の悪女である。
 その正体は千年を生きた狐の精で、白面金毛九尾狐とも称される。よく見れば、
彼女の耳や足には長い毛が生え、狐そのものの形状をしている。
 平安時代の我が国にも『玉藻前』として現われているが、遠呂智と面識はない。
気がつけば隣に魔王がいて、単に面白そうだからその軍師を名乗ったりしている。
 妲己は遠呂智の肩に馴れ馴れしく寄りかかった。
「やっぱり、普通の女の子の精気じゃ強くなれないわよ。そうねぇ……並みの男たちなんて
目じゃないくらいの、無双の力を持った女たちが必要ね」
「無双の力、だと?」
 遠呂智の目が鋭く光った。
「この世界には強い男だけじゃなくて、強い女もいるの。その子たちを蛇さんで可愛がってあげれば、
すっごい力を手に入れられるわ。ね、面白そうじゃない? 私も頑張って探すから」
 無邪気に残酷に、妲己がはしゃぐ。むろん、妲己にも何か目論見があるのだろう。
それでも遠呂智はこの提案に乗ることにした。強者たちとの決戦に、最高の力をもって臨むべく。
「よかろう。無双の女たちよ、我が力となってもらおう」

 数日後、遠呂智軍はまず九州へと侵攻を開始した。九州には雷を自在に操る娘がいると聞いた。
間違いなく、無双の力がなせる業であろう。
 三国と戦国の世を生きる女たちの壮絶な試練が、始まった。

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Written by◆17P/B1Dqzo