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遠呂智の本拠地、古志城に立花誾千代の姿はあった。攻め込んできたのではない。
敗れ、ここまで連れてこられた。
いつも全身をくまなく覆っていた甲冑は、すべて剥ぎ取られている。純白の襦袢だけをまとっていた。
鎧の下に隠されていた、豊満な身体の線が、くっきり浮き出ている。
しかも硬く冷たい道を、素足で歩かされている。さながら、刑場に引っ立てられる罪人だった。
しかし、立花誾千代は動じるふうもない。その口元には不敵な笑みさえ浮かんでいた。
（立花がここで終わるのは無念だが、魔王に下げる頭はない。それに立花散るとも、世に
もののふの種は尽きるまい）
「来たか」
巨大な扉の向こうから声がした。古志城最深部の門が、ひとりでに開いていく。はるか奥から、
何者かが宙を滑るように近づいてくる。
その背丈は誾千代の倍近くに達している。顔色は顔料を塗りこめたように青い。明らかに人間ではない。
一方、表情は意外と穏やかで、知性すら感じられる。化け物という言葉では形容しがたい、ある種の
威厳があった。手にした大鎌が、いっそうの迫力を与えている。
「下がれ」
誾千代を引っ立ててきた異形の将兵どもが、そそくさとその場を去った。誾千代の背後の門が
轟音と共に閉まる。
「遠呂智、だな」
「いかにも。貴様か、自分を女ではないと言い張る娘は」
返事は、城全体の大気を震わした。
「然り。女ではない、立花だ」
誾千代もさるもの、大音声に身じろぎ一つしない。
「立花誾千代。貴様にもののふの散り際を見せる者の名だ、覚えておけ。さあ、その鎌で首を刎ねるなり
胴を薙ぐなりするがいい」
凛としたよく通る声で、誾千代は遠呂智に言ってのけた。もとより、生きながらえるつもりなどない。
沈黙の中、両者の視線が交錯する。ややあって、遠呂智の口元がニタリと歪んだ。
「そのようなことは、せぬ。勇敢なる戦乙女よ、我にその身を捧げよ」
遠呂智の両眼が、かっと見開かれた。紅と碧の光が、真っ白な襦袢を毒々しく染める。
「馬鹿なことを。貴様の慰み者になるくらいなら」
『舌を噛み切ってやる』
そう続けようとした誾千代の言葉が、途切れた。
「立花を……ど、どうするつもりだ？ こんな格好は、その」
視線が宙をさまよい始めた。頬がぱあっと紅潮し、襦袢一枚の身体を不安そうによじる。
どうしたのか。誾千代らしくもない。
「言ったであろう、身を捧げてもらうと」
遠呂智が掌を誾千代の前にかざした。
音もなく、誾千代の襦袢が千切れ飛んだ。自分の身に何が起きたのか、誾千代は認識すらしていない。
粉雪となって舞い散る襦袢と、その下から現われた柔肌。ようやく、誾千代は気づいた。
自分が一瞬にして、全裸にされたことを。
「え……きゃああぁっ！」
今まで上げたことのないような悲鳴が、艶やかな唇から飛び出した。その場にしゃがみこみ、
胸と股間を隠そうとする。背後からは、小ぶりな尻が丸見えなのだが。
今までは考えられなかった。たとえ衆人環視で裸にされても、取り乱さなかっただろう。
呪力の宿った遠呂智の眼光が、誾千代の内面を一瞬にして変えてしまった。脆く繊細な、本来の姿に。
「そうだ、お前は女だ。それが分かっていながら、目を背けてきた。その罪にふさわしい宴、
我が催してやろう」
「く、来るな。いやああぁっ！！」
蛇を模した鎧をガチャガチャと揺らしつつ、遠呂智が一歩また一歩と歩み寄る。
今や一人の娘となった誾千代は腰が抜け、悲鳴を上げることしかできなかった。
「ぐうっ！」
誾千代は手首を縛られ、城門の梁から吊るされた。縛っている縄もただの縄ではない。
生きた蛇が、自分の意思で絡みついている。
こうなっては、裸体をまったく隠せない。何もかもが遠呂智の目に晒されていた。
女としては長身と言える。加えてたゆまぬ鍛錬が全身を引き締めていて、いかにも女戦士といった
体形になっている。一方で女性らしい、滑らかな曲線もしっかりと描かれている。特に乳房は
見事に発育し、胸筋に支えられて盛大に張り出していた。
「ふむ」
これが董卓あたりなら、下卑た笑いを浮かべながらあちこちに手を伸ばすだろう。しかし
遠呂智は、欲情のそぶりも見せない。不気味なほどに落ち着き払い、誾千代をじっくり眺めている。
「我が眷属よ。我に見せよ、この娘の価値を」
遠呂智の呼びかけに応じるかのように、誾千代の肩に一匹の蛇が落ちてきた。
とぐろを巻いて締めつけながら、頂点に向かって鎌首を伸ばしていく。薄桃色の尖りに
たどり着くと、細く真っ赤な舌でチロチロとくすぐり始めた。
「はぅあ！ 立花を、な、舐めるなっ」
誾千代はいつものように一喝しようとしたが、声は震え、上ずっている。
遠呂智の目を見たあの時から、恐怖や恥ずかしさといった感情が長年の封印を解かれていた。
「駄目、駄目だ。蛇なんて、あふうぅ！」
当然、誰にも肌は許していない。生まれて初めて乳首を、それも蛇にねぶられて、誾千代は
首を大きく振って悶えた。
遠呂智の視線が、淡い先端に注がれる。
「こうすると、ここから妙な汁を出す女もいたが。貴様は違うのか。同じ人間でこの差は
どこから来るのか……興味深い」
「そ、そんなの……まだ、出るわけない」
遠呂智は乳の出る女も犯したことがあるのだろう。おそらくは、生まれたばかりの赤子と
引き離して。
「それにしても、これは何の役に立つのだ？ 美しいものではある、が」
遠呂智は誾千代の乳房に異常に執着した。裂けそうになるまで鷲づかみにしたり、下から
持ち上げてタプタプと揺らしてみたり。透き通るような白い美巨乳が、いいように弄ばれる。
「く、はっ！ は、恥ずかしい……そんなこと、しないでっ」
自分の身体が淫猥だと実証されているようで、見ていられなかった。
「自分で動かすこともできぬのか。無駄な肉だな」
蛇は乳で育たない。遠呂智は、乳房の存在意義をまだ理解していなかった。
乳いじりに飽きると、遠呂智は屈みこんだ。顔の前に、誾千代のなだらかな下腹部が
来る。さらに、その末端を覗き込もうとした。
（嫌ぁ！ そこだけは、駄目！）
遠呂智に見せまいと、誾千代は両脚をぴっちりと閉じ、身をよじる。だが必死の抵抗も、
遠呂智が太腿の間に手を突っ込んで左右にこじ開けると、たちまち無意味となった。
たまらず、目を固くつぶる。
「ここも、茂り方がみな異なるな。このような無毛の女陰は、より幼い娘によく
見られるが？」
「……！ 言うなあっ」
何歳になっても生えてこない、大人の翳（かげ）り。ひそかに気にはしていた。
しかし、それは劣っているのではない。個性というものだ。しかも、秘裂からは花弁すら
はみ出していない。童女のごとき誾千代のそこは、成熟著しい肉体の中で危険なまでの
魅力を醸し出していた。
この光景に遠呂智が興味をそそられるのも、当然だろう。
「では、内面はどうなっているのか……傷つけぬよう、調べるとしよう」
今度は足首に、また別の蛇が絡みついた。先ほど乳房を責めた蛇に比べて細いが、長さは
上回る。誾千代の長い脚を昇りだした。くるぶしから太ももまで、白い脚に禍々しい螺旋が
描かれていく。
「な、何を……」
誾千代の疑問には、すぐに答えが示された。
蛇は、脚の付け根でぴたりと止まった。その鎌首は、誾千代の中心、神秘の裂け目へと
向けられている。つまり。
「やめろ！ 立花は、まだ――」
蛇の頭が、何の遠慮もなく誾千代の秘裂を割って潜り込む。
「くぅ……んあっ……！」
痛みはない。それがかえって、誾千代を戸惑わせる。
何も知らなかった誾千代の胎内で、侵入者が調査を始めた。処女膜の間を通って膣内を
ズルズルと這い進む。さらに子宮口に達するとその奥へと滑り込み、内壁に沿って移動する。
純潔を奪われていないとはいえ、膣内で異物が暴れるのは今までにない恐怖となる。
蛇はその体すべてを誾千代の膣内に収めたわけではなかった。入りきらなかった分は膣口から
垂れ下がる。股間からだらりと紐を垂らす誾千代の姿は、この上なく卑猥だった。
情報収集を終えた蛇が、ようやく誾千代の膣口から這い出てきた。彼女が産み落とした
かのように、体液にまみれ、ぬめっている。。
それを拾い上げ、遠呂智が何事か語りかける。何度か、軽くうなずいた。
「ほう、やはりな。男を知らぬか。しかも女であることを否定して生きてきた。無垢なる
お前のここには、膨大な『力』が宿っているようだ」
「ちか、ら……？」
指先で、誾千代の子宮のあたりを撫でる。彼女は、遠呂智のお眼鏡にかなった。
極上の贄として。
「始めるか……ぬうううっ」
遠呂智が、低い声で唸る。
途端に、股間が著しい隆起を始めた。分厚い鎧を突き破り、魔王の分身が天を向いて勃ち上がる。
遠呂智が自分で調整しているのかもしれないが、『入らない』というほどの長さ、太さ
ではない。一般人より二回りほどの大きさか。しかし、どう見ても生殖器ではなく蛇その
ものである。繊細な、しかも男を知らぬ身体に挿れてよい代物ではない。
「お前とは、これで繋がるとしよう。たまには人間のまぐわいを真似るも一興」
背後から、誾千代を羽交い絞めにする。立ったまま、一本筋の姫割れに真下から大蛇を
あてがった。
「嫌、嫌ぁ……それは、それだけは」
押し付けられる剛直を受け入れる覚悟は、今の誾千代にはなかった。後ろを振り向き、
尻を左右に振って惨めなほどに哀願する。
「参るぞ」
回答は、最も分かりやすい形でなされた。
生娘であることをまったく考慮しない、強引な突き上げ。あっけないほどに脆く、純潔が
粉々に散らされた。
「ひぎゃあああ――！」
赤黒い古志城の空に、誾千代の悲痛な絶叫が響き渡った。
「あ……ぉ……あ……」
一筋の鮮血が無毛の秘裂から滲み出し、誾千代の内腿を伝い落ちる。どんな戦傷よりも
耐えがたい痛みに、目を見開き、口をパクパク開閉させるしかできない。
一方の遠呂智は、征服した処女肉をゆるりと味わっていた。初々しい肉襞から、誾千代の温もりと
生命力が直に伝わってくる。
「ふむ。流石に、無双の力を持つ者だな。生気が奔流のごとく流れ込んでくる」
満足げに目を細めた。
それから遠呂智は、誾千代を縛っていた蛇を引きちぎった。脱臼寸前だった両腕が、ようやく
解放される。しかし、しっかりと貫かれていては、逃げられるはずもない。
脱力しきった誾千代に、上からのしかかる。重みに耐え切れず、誾千代は両手を床に
ついて四つん這いになった。
「我はこのままでも貴様の精を吸えるが……ムン！」
渾身の力で腰を打ち付ける。肉付き薄い尻が打たれ、小気味よい音が響く。奥まで達すると、
亀頭、いや蛇頭が抜ける寸前まで腰を引き、再び突き入れる。衝撃で、誾千代の
乳房が前に後ろに繰り返し揺れた。
「かはあ！ うう……？ ぐ、うがああ！」
無数の鱗が処女の肉襞と猛烈な勢いで擦れあい、誾千代にいっそうひどい痛みを与える。
「こうすると、女も愉しめるのだろう？ 妲己から聞いた」
淫乱の象徴たる妲己と、生娘の誾千代を同列に扱うのが間違っている。少しの快楽も
得られないうえに、犬のような格好で犯される。誾千代の身も心も、取り返しがつかないほど
傷ついていった。
誾千代が息絶えるまで続くかと思われた狂宴だったが、遠呂智にも満腹という概念があるらしい。
戯れにおこなっていた前後運動を、唐突に止めた。
「生きたまま我を満足させた女は、貴様が初めてだ」
「はーっ……はーっ……」
遠呂智の賞賛も、誾千代の耳には届かない。心を閉ざし、過酷な現実との接触を拒んでいた。
「手放すのは惜しい。我が手元にて、飼ってやるとしよう」
蛇頭の口が開き、おびただしい量の粘液が噴き出した。精液ではない。遠呂智が、交わった
人間の心身を支配するための毒だった。その毒は膣壁から全身へと行き渡り、誾千代を
作り変えていく。感覚が敏感に、淫らになる。破瓜の痛みに悶絶していた生娘も、
次は自ら喜んで腰を振るだろう。
「い……や……立花が、消えてしまう……」
毒に侵されるのは肉体だけではない。高潔な魂も侵食され、壊れ始める。
とめどなく流れていた涙が涸れ、少し前まで強い意志の光が宿っていた瞳がどんよりと
曇っていく。立花の誇りも、島津への憎しみも、誾千代という人格そのものが霞のように
曖昧になって、消え始めた。
「……ぁ……」
破瓜の血を存分に吸った大蛇が誾千代から引き抜かれる頃には、立花誾千代は一体の
肉人形と化していた。
「妲己よ、後は任せる。この娘に、新しき生をくれてやるがいい」
激しい交わりの後にもかかわらず、遠呂智は息切れ一つしていない。何事もなかったか
のように誾千代に背を向け、宮殿の奥へと姿を消した。
入れ替わりに、妲己が誾千代の傍らに立つ。冷たく笑って、犠牲者を見下ろす。
誾千代の尻が、余韻にヒクヒクと震えていた。
「へえ、まだ生きてるんだ。遠呂智様に抱かれたのに、すっごい生命力」
返事はない。口を半開きにして、虚空をぼんやりと眺めている。
「それにしても、私の術で落ちなかった娘を一睨みで思い通りにするなんて……さすが
遠呂智様、痺れちゃうわ」
九州で誾千代を捕らえたのは妲己である。当然、散々いたぶり、催眠術も試したのだが、
強靭な精神を崩すことはできなかった。格の差に、妲己は思わず舌を巻く。
「さてと。どんな人格にしてあげようかしら。日頃は勇ましくて、遠呂智様の前では肉奴隷、
みたいなのがいいかな。よし、それで行こうっと♪」
妲己が誾千代を抱き起こす。長く真っ赤な爪を舐めて、唾をまぶすと、誾千代の額に押し当てた――
立花誾千代編 完
この物語のヒロインたちは、以下の作品にも出ています
稲姫×誾千代
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