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弓姫二人 その3

 もう、これで何度目になるのか。
 妲己に呼び出され、不甲斐ない戦いぶりをなじられるのは。今日は隣に稲がいるだけ心強いが。
「あのさぁ。尚香さん、ちゃんと周り見て戦ってる? あなたのおかげで、作戦が台無しになったんだけど」
 冷ややかな視線が、尚香には突き刺さってくるように感じられた。うつむき、本当はしたくもない謝罪をぼそぼそとつぶやく。
「ごめんなさい……本当に、反省しているわ」
「反省だけなら、おサルさんでもできるんだけど〜?」
 稲とともに鍛錬を重ね、寸暇を惜しんで兵法も学ぶようになった。しかし、どうしても結果を出せない。年頃の娘がそう簡単に『与えられた任務を果たすのが武人の務め』と割り切れるだろうか。
「これじゃ、あなたのお父さんのことも考えないといけないかな〜」
 大げさに肩をすくめながら、遠呂智の軍師はさらりと言ってのけた。
「そ、そんな!」
 殺されはしないまでも、自分の失敗を理由に父が酷い目に遭ったら……尚香の顔から見る見る血の気が引いていく。
(ここは、頭を床に叩きつけてでも!)
 そう思った矢先、彼女の横から稲が飛び出していた。
「お待ちください、妲己様!」
 ひざまずき、額を床にこすりつける。まさに、自分がしようとしていたことを自分の親友がしていた。
「稲!」
「尚香が無理をしたのは、包囲された私を助けるため。お責めになるのなら、どうか私を!」
 確かに事実としては、稲の言うとおりであった。稲の方にとりわけ強力な武将が行ってしまい、あわや討ち死にしかかった。それを尚香が放っておくなど、できるはずもなかった。
「む……」
 妲己が珍しく言葉に詰まる。態度は従順でありながら、見上げる稲の瞳には強い光が宿っていた。刺し違えることもいとわないような、眼光が。
「まあいいでしょ。稲さんに免じて、今回だけは許してあげる」
「……かたじけのうございます」
 袴を軽く払って、稲は立ち上がった。友に促されて尚香も礼を述べ、連れ立って退出していく。その沈んだ背中を、妲己の目はどこまでも追っていた。
「女同士の友情、麗しいわねぇ……そろそろ食べ頃かな」
蛇のような舌を出し、妲己は己の唇を舐めた。

 稲が妲己に呼び出されたのは、その夕方のことだった。
 尚香の件で直々に話があると言われては、行かないわけにいかない。さもなければ、今度は尚香の立場が危うくなる。稲はそう結論付けていた。
 書状で指定された場所に着くと、そこには夕焼け空よりも真っ赤に塗られた屋敷がそびえ立っていた。質素な日本家屋を見慣れた稲は、眉を潜める。
(神社の鳥居ではないのだから……)
 それでも意を決して、分厚い門を叩く。
「徳川軍の稲でございます。妲己様にお目通り願いたく」
ややあって、門が開いていく。その向こうには妲己……ではなく、知らない娘が一人、突っ立っていた。質素ないでたちからして、使用人なのだろうか。
「お話は承っております。どうぞ、こちらへ」
 にこりともせず、娘は踵を返した。接客態度に疑問を抱きながらも、稲は相手についていくしかない。
 外観と同じく屋敷の内装も派手派手しく、目がちかちかしてくる。つくづく、ここの主とは気が合わないと思う。やがて、ひどく殺風景な小部屋に通された。
 そこには、予期せぬ先客がいた。
「尚香!? どうして、ここに……」
 書状には『尚香と一緒に来るように』とは書かれていなかった。もちろん、稲はこのことを尚香に話していない。
 向こうも不思議そうに首をひねった。
「どうして、って……私も、妲己様に呼び出されたのよ」
 そう言ってから、尚香は稲にずいっと歩み寄った。さらには稲の手を強く握る。
「な、何? 急に」
 間近で見る友の不安げな顔と柔らかい手の感触に、稲の心拍数が跳ね上がる。
「稲……私、とても不安でたまらない。私は、父様はどうなってしまうの?」
 尚香に頼られている。かつてない幸福感に満たされながら、稲は友に優しく語りかけた。
「落ち着いて。あなたは独りじゃない。尚香は命に代えても、私が守ってみせる」

だが。

「なーんて、う、そ♪」
 突然、親友の口調が変わった。その口元には嘲るような笑みが浮かんでいる。
 何事かといぶかる間もなく尚香が煙に包まれ、それが晴れたところには――妲己がいた。
「尚香さんじゃないんだなぁ、これが」
「な、な……」
 一番会いたいと思っていた相手は、一番会いたくない相手が化けていた。激しく動揺したところで、女狐がじっと覗き込んでくる。瞳が吸い込まれるように深い。術だと気付いたときにはすでに遅く、夜を徹した後のように強烈な睡魔が襲ってくる。まぶたを、上げていられない。
「くう……卑怯、者……」
「ありがと。最っ高の褒め言葉よ?」
 よく考えてみれば、尚香が妲己に『様』をつけるのも、稲が呼び出されたことを知っているのも不自然だろう。尚香に会えた喜びが、稲の判断力を狂わせていた。
 気を失った稲を受け止めると、妲己は小部屋から瞬間移動した。

「はい、到着〜」
 着いた先は、贅を尽くした寝室であった。中央に据え付けられた巨大な寝台の上に、いつの間にか二人が乗っている。
 ぐったりしている稲を、妲己は布団の上に仰向けに横たえた。すっと筋の通った稲の鼻頭に指を当て、ほくそ笑む。
「一応、縛っておこうかしら」
 手首に、目には見えない妖力の手錠をはめ、寝台の端に結びつけた。足首も同様に固縛されてしまう。
「これからあなたを、私のものにしてあげる。その身体も魂も、ぜ・ん・ぶ」
 当然相手の返事も聞かず、妲己は稲に覆いかぶさった。くいっと顎を持ち上げ、頬を軽く撫でる。
「可愛い寝顔。じゃ、いただいちゃいま〜す……」
 紅を塗りこめた妲己の唇が、化粧していないが血色よい稲の唇に押し付けられた。チュッチュと音を立て、ついばむ。それから無抵抗の唇をこじ開け、真っ白な歯列を舌で舐めていく。
「ん……んむうっ!? んー、んん――っ!?」
 息苦しさから稲がようやく目覚めたとき、接吻されているという異常な事態にすぐ気付いた。しかし、抵抗もできぬまま口内を蹂躙されていく。
「ごちそうさま。あなたの唇、とても美味しかったわ」
「はぁ、ああっ……尚香、ごめんなさい……」
 妲己の狐のような耳は、その呟きを聞き逃さなかった。
「え、稲さんってば、尚香さんと口づけしたかったの? 向こうに絶対、その気はないと思うけど?」
「違いますっ! 尚香は……かけがえのない友……」
「その大事な友達をオカズにして、一人でしてるんでしょ?」
「ど、どうしてそれを……ハッ!?」
 妲己がかけた鎌に、ものの見事に引っかかった。口をつぐんだがもう遅い。素直な稲の言動が、妲己は面白くて仕方なかった。
「だから、今から私があなたの望むことをしてあげる。極楽浄土に送ってあげるから、感謝しなさいよね」
 妲己が、稲の胸部を覆う鉄製の鎧に爪を立てた。それをツツー……と何回も走らせていく。
 次の瞬間、驚くべき現象が起きた。まるで粘土のように鎧の表面がひび割れ、柔肌が露出してしまったのだ。筋力などではない、人を超えた力のなせる業か。
「いっ、いや! 何をなさるのですっ」
「だって脱がさないと、イイコトできないじゃな〜い」
 当然、袴など紙同然である。妲己は鼻歌交じりに指を動かし、袴を細切れにした。
 稲の脚は少々筋肉質だが引き締まり、太腿は肉付き豊かで足首に向かって細くなる、理想的な脚線を描いている。例によって、現代的な肌着は着けていない。ぴっちり閉じた太腿の間からでも、生い茂る黒い翳りがのぞいていた。
「ここからは丁寧に脱がせていかないとね。怪我とかさせたらかわいそうだし」
 籠手と足袋だけを着けた姿もかなり煽情的だが、妲己はそれすらも剥ぎ取っていく。髪どめまでほどくと、白い布団の上に見事な黒髪が広がった。
 こうして、稲を覆うものはとうとう布切れ一つもなくなってしまった。初対面で脱衣を強要され視姦された稲は、今再び全裸を晒す羽目に陥った。鍛錬を積んだ弓姫の肢体は、前よりさらに引き締められ、健康的な美しさを増している。
「ああ……見ないで……」
「ほぉら。やっぱりあなたは、その格好が一番素敵よ。綺麗なものは、隠さずに見せなくちゃ」
 顔だけでなく全身が羞恥で朱に染まる。だがまさか、舌を噛んで自害するわけにもいかない。

「じゃ、いっただっきまーす♪」
 妲己が稲の全身を味見し始めた。しかし、いきなり胸や姫割れをペロペロ舐めたりはしない。
「え……そ、そんなところ、を……ひっ、ひゃうっ!」
「レロッ……驚いた? 女の子はね、身体中に気持ちいい所があるのよ。たっぷり舐めて、教えてあげる」
 ヘソや膝の裏、足指の間など、性感帯とは思えない部分からネチネチと責めていく。稲が、自慰に使ったことなどない部分を。
「ダメ、汚い……ああんっ! いやぁ」
「あなたみたいな可愛いコに、汚いところなんてないわ」
 妲己の言うとおり、どこもかしこも驚くほど心地よくて、浅ましい声をひっきりなしに上げてしまう。しかし、やはりあと一歩物足りない。いつしか、自由の利かない身体を懸命によじっていた。

 稲が耐えきれなくなったのを見計らって、妲己はようやく胸元に顔を寄せた。仰向けになっているのに、二つの膨らみはほとんど形が崩れていない。
 極上の水菓子を前にしたかのように、女狐が目を細める。
「本当においしそう。自分じゃできないこと、たっぷりしてあげる」
 軽く口を開いて、先端より少し下の方に吸い付いた。チュパチュパと、淫靡な吸引音が聞こえはじめる。
「ん……ア……どうして、こんな……いやなのにぃ」
 ほどなく、稲の口から切ない喘ぎが漏れてきた。眉根を寄せて頭を振るのは、嫌悪感からだけではない。
「決まってるでしょ? あなたがやらしい女の子だから。こんな風に女同士で、無理やりされて、悦んでるんだもの」
「違う……! 私はっ……」
「何が違うのかしら? んちゅっ」
「う、はあっ!」
 片方は赤子のように吸い立てつつ、時折甘噛みを交える。もう片方は指で強めにつまんで、ひねったり乳輪の中にうずめたり。
 勃起した先端をたっぷりと賞味され、稲は敏感に反応して身体を震わせた。指先で転がされ、瑞々しい肌の上に吸い痕を付けられていく。いくつもの痕が、色白の胸乳を赤く飾り立てた。

「ふふ……お股も寂しかったでしょ? ごめんね」
 悶える稲を組み敷いたまま、妲己は片手を下へ下へと滑らせた。茂みの感触を指先に受けると、手探りで生え具合を確かめていく。
 腕、すね、腋でさえもスベスベだというのに、姫割れの周囲だけは実に毛が長く濃い。しかも自然に任せている。
「お尻の方まで短いのが生えてるわよ。ちゃんと処理してる?」
「処理……? 何を……」
 夜の下準備など、稲が知る由もない。
「ま、この方があなたらしいわよね。ここから、すっごく生命力を感じるもの」
 終始おどけていながら、妲己の口調にはどこか冷徹な響きがあった。これだけ稲を可愛がりながら、何か別の目的があることをうかがわせた。
 すでに今までの愛撫によって、稲の甘露は分泌を始めていた。頭で嫌がっても、身体の奥底が疼いて疼いて仕方なかった。それが、妲己の指にたくさん付着していく。
「ほら、見て見て! こぉんなに糸を引いてるわよ?」
 稲の目の前で、指先にまとわりついた淫水を弄ぶ。稲は耳まで真っ赤にして、目をつむってしまう。
 その目が、かっと見開かれた。
「あ! あ!?」
 さらに蜜を吐き出させるべく、陰核の包皮を剥かれていた。まったくの無防備となった極上の性感帯に、希代の淫婦の指が踊る。自分で慰めているときとは比較にならないほどの快電流が、腰にズンと突き抜ける。
「はぉあ! こんな、こんなのってえぇ」
「とっても大きいわよ、あなたのお豆。分かる? いつも自分でいじってるから、こうなったの」
 妲己は満面に笑顔を浮かべて、嘘をついた。
 もちろんそんなはずがない。触っているだけで外性器が大きくなるのなら、短小に悩む男などいない。しかし純真な姫君は、自分の身体は特別に淫らなのだと思い込んでしまうだろう。
 たちまちにして布団の上に、失禁したような染みが広がっていく。生娘の下ごしらえは順調に進んでいた。

 その頃。稲が駐留している屋敷の門前で、尚香は首をひねっていた。
「こんな夜中にいないなんて、絶対おかしいわ……どこへ行ったのよ?」
 行き先は、彼女の供の者たちも聞かされていないという。
(稲が誰にも内緒で出歩くなんて……男と逢い引き? そんなことしないと思うけど)
 そこでふと、尚香は昼間の稲の言葉に思い当たった。
『責めは私が負います』
(ある、ありえるわ。稲が誰かに会いに行く理由が!)
 尚香の背筋を、歯の根も鳴るほどの悪寒が走った。

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Written by◆17P/B1Dqzo