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小喬は遠呂智の贄となり、島左近らは命からがら脱出。この戦場(いくさば)で遠呂智に
従わぬ者は、もはや一人の巫女のみだった。
巫女ではあるのだが、そう呼ぶにはいささか絢爛に過ぎる衣裳をまとい、こぼれんばかりの
花が描かれた日傘を手にしている。迫り来る遠呂智軍を相手に戦うでもなく、彼女はその傘を広げ、
占領された陣中でただ優雅に舞っていた。
それを遠巻きにして、遠呂智の将兵たちが悶え苦しんでいた。誰も、舞い踊る巫女に手を出せない。
「うおええぇぇ! だ、妲己様、お助けを……」
「な、何なのよあの踊り……吐き気がするわね!」
妲己さえも、こめかみを指で揉みほぐしながら耐えていた。とてもではないが、下っ端の
心配などしていられない。
もちろん、巫女の舞が下手だからではない。それどころか、踊り手としては天下一と言ってもいい。
出雲の阿国。彼女の舞は出雲大社への捧げ物であり、その神々しさが邪悪なる遠呂智兵を、
そして『千年狐狸精』妲己をも遠ざけていた。
「遠呂智様には悪いけど、あの娘は殺した方がよさそ……」
「何をしている。娘は捕らえたのか」
突然、妲己の背後から大音声が響いた。ぎょっとして妲己が振り返る。
気配さえもなかった魔王が、いつの間にかそこにいた。腕の中には、全裸の小喬が抱き
かかえられている。二人の背後にはァ千代も、少々顔を赤らめながら立っていた。
「あぁん……すっごいよぉ……」
すっかり愛奴と化した少女の幼い秘唇は、大蛇の股間から伸びた大蛇に貫かれている。
蛇は自律的に膣内で動き、卑猥な粘着音を響かせていた。
「遠呂智様ぁ! それが大変なんですよぉ」
新たな生贄には目もくれず、妲己が遠呂智に泣きつく。一部始終を聞かされた魔王は、
しばし無言で阿国の舞を見つめていた。
別段、遠呂智の身に異変は起きない。彼も魔の物である以上、心地よいものではない。
だが魔王たる者が、巫女の舞ごときで苦しむはずもなかった。
「面白い。我に力を与える娘は、こうでなくてはな」
「はぅあぁあっ……アッ、抜かないでぇ」
薄く笑い、小喬の中から大蛇を引き抜く。役目を終えた剛直は、ひとりでに鎧の中へと
収まっていく。破瓜の血と愛液を塗りたくったからなのか、また少し形状が人間の生殖器に
近づいていた。
「そこで大人しくしているがいい」
今のところは用が済んだ小喬を、地面に軽く放った。
「きゃん! は……はい……あん、ふうぅ……」
可愛らしい悲鳴を上げ、小喬が倒れこむ。ぱっくりと開いた女芯から、白濁した毒液が
あふれ出す。幼い裸身は余韻に打ち震えていた。
遠呂智は神の舞姫に平然と向かっていく。将兵は皆、遠呂智にすがるような目を向けていた。
「夢――昨日は今日の夢、今日は明日の……あらぁ?」
近づく異形にようやく気付いた阿国が、傘を廻す手を止めた。今にも自分を取って食おうと
する魔王を、しげしげと眺める。次に彼女はどうする。悲鳴を上げるのか、声も出せず凍りつくか。
どちらでもない。頬をほんのり染めて、微笑んだ。
「まあ〜、ええ男はんや。たくましゅうて、目ぇがキリッとしとって。それにそのお姿、
かぶいてはるなぁ。ごっつい鎧着て顔青く塗ったくって、慶次様顔負けやわ」
(ええええっ!?)
妲己は喉まで出かかった叫びを慌てて飲み込んだ。助かりたくておべっかを使っている
わけでもないらしい。
「うち、阿国言います。あんじょうよろしゅう」
魔王相手にぺこりとお辞儀する人間は、阿国くらいだろう。
「貴様は……我を、遠呂智を恐れぬのか」
「あぁん、声も渋おすなあ! せやのに、お名前が遠呂智て……ほんに、おもろい人やわ」
阿国は口に手を当て吹き出した。遠呂智を芸名だと思っているらしい。
さすがの遠呂智も、少々毒気を抜かれた。巫女一人を前に、口も利けず立ち尽くしてい
たが、
「そや、遠呂智はん。こないな戦やめて、うちと一緒に出雲へ往にましょ」
その一言で、神代の忌まわしい記憶が蘇った。紅と碧の瞳が、大きく見開かれる。
「出雲、だと……!?」
他でもない。遠呂智は出雲で、ヤマタノオロチとしてスサノオに退治された。
そのスサノオをはじめとした出雲の神々に仕える巫女を、どうして見過ごせようか。
「遠呂智はん?」
「うおおおぉ! 貴様を我が物とせねば、我はこの世界の真の主にはなれぬ!」
怒りの咆哮が九州の大地を揺るがす。遠呂智を覆う鱗がボロボロとはがれ、その一枚一枚が、
一匹一匹の蛇へと姿を変えた。蛇どもは地面に落ちると、一斉に阿国へ襲いかかる。
彼女は、まさに遠呂智の逆鱗に触れてしまった。
「な、な、な、なんやの!?」
さすがの阿国ものんきにはしていられない。傘を振り回して叩き落とそうとするが、
それを巧みにかいくぐって蛇たちは身体に取りついた。
「ひああ、か、堪忍……う、うち、蛇苦手どすっ」
彼女の美意識は一種独特なものがあるが、それでも蛇は受け入れられないらしい。笑みは
消えて顔が引きつり、腕には鳥肌が立っていた。
花と見まがう衣装に醜悪な蛇たちが群がる。あるものはか細い足首に絡み、またあるものは
胴を腕ごと縛り上げた。統率の取れた軍隊のように、彼らは自分の役割を果たし始めた。
「やめとくれやす……きゃううっ!」
焦って逃げようとするが、当然のように体勢を崩してしまう。とうとう芋虫のように、
地べたに倒れこんでしまった。
それでも阿国は、身をくねらせてもがく。柳腰が左へ右へと振られ、それほど大きくない
胸が地面に擦り付けられる。
緊縛遊戯は服の上だけに終わらない。別の蛇たちは、襟首や裾から侵入を開始した。
「ひっ!」
阿国の顔から血の気が引いた。蛇が何をたくらんでいるか、いくら彼女でも察しはつく。
幾重にもなった衣裳を突破し、蛇たちは阿国の柔肌にたどり付いた。這い回って、亀の
甲のような模様をその上に描いていく。股間にも一本の縦筋となって潜り込み、恥丘から
肛門まで縄を打つ。そして、互いの尾をくわえ込んだ。通常、女体緊縛には複雑な手順を
踏むのだが、蛇たちは一本の縄になることもその逆も簡単にできた。蛇が尾をより深く
くわえ込むことで、戒めをきつくすることもたやすい。
「んはああ……そ、そないにきつうせんといてぇ」
蛇たちは、阿国に縄化粧を施した。しかも服の上と中で二重に。
生ける荒縄は、阿国の乳房を搾り出し、秘唇に食い込み、花弁や淫豆を擦りたてる。
しかも、小刻みに波打つことで、振動をも与えながら。
「あん、あはっ! そこ、そこはあかんて……」
阿国はよく傾奇者と交際していた。もちろん性的な意味で。変わり者ぞろいの彼らだけ
に、行為の間に縛られたことも一度や二度ではない。しかし、ざらついた鱗は、
阿国にとっては未知の刺激となった。しばらく放っておくと顔は赤らみ、悲鳴にも甘いものが
混じってくる。
「くうぅんん……ふぐうっ!?」
最後に口にも蛇が突っ込み、頭部を一周して猿轡を噛ませる。
「これで、歌うことも舞うこともできまい」
固縛された巫女を目にして、初めて遠呂智が薄く笑った。
それにしても恐るべきは、遠呂智の学習能力である。元はと言えば、京の縄師から習った
妲己がさらった娘たちに縛りを試していたのだが、それを垣間見た遠呂智は見よう見まねで
本家以上の緊縛をやってのけた。
「さて、我も愉しませてもらおう」
遠呂智は阿国の袴をむんずとつかんだ。花びらをむしるように、強引に引きずりおろし、
破り捨てる。
たちまち、彼女の下半身は股間に至るまで、足袋を残して剥き出しになった。
普段は袴に隠れていた脚線が、艶かしい。太ももに脂が乗り、足首に向かって絞り込まれている。
ァ千代や月英と比べると筋肉がついていない分、さらにほっそりとして見える。
「んんんん――!?」
耳まで赤くして、阿国がくぐもった抗議の声を上げる。
黒い縮れ毛が濃い目に生え揃った股間は、蛇がこれ以上ないほどきつく食い込んでいた。
それを遠呂智がずらす。大ぶりな花びらに飾られた陰部とくすんだ菊門が顔をのぞかせた。
炎天下で舞っていたため、下の毛の束は少々よじれ、汗にまみれていた。秘裂は蛇に
ズリズリとこすられて、奥底から痴蜜がこんこんと滲みだしている。みっともない。
さらにみっともないことに、上の口の端からも涎を垂らしている。
阿国は明らかに、出来上がっていた。それも、蛇に愛撫されて。
「ククク……生娘ではないのか。貴様は神よりも、肉欲に仕えるのが好きなようだな。だが、
さすがは無双の者。その豊かな精気を吸わせてもらう」
清楚だろうと淫乱だろうと関係ない。阿国の全身を縛る蛇から、遠呂智は
彼女の贄としての価値を見抜いていた。
足首の蛇が、拘束を解く。逃がすためではない。阿国の股を広げやすくするために。
今しがた小喬の純潔を穢したばかりの大蛇が、再び鎌首をもたげる。
遠呂智はピクリとも動かずに立ったまま、蛇だけが横たわった阿国の秘部に伸びていく。
阿国が後ずさろうとするより早く鼻先を埋め、二股に割れた舌で濡れた花弁を味見する。
「ん、ん!」
ただでさえ敏感になっていた淫豆に細長い舌が巻きつくと、たまらず阿国はうめいた。
蛇の舌づかいは人間よりはるかに繊細で、動物相手にいけないと思っていても腰がカクカクと
動いてしまう。
「頃合やよし。参るぞ」
「む――っ……んぐっ!!」
人間の真似をして阿国の上に乗り、大蛇を突き入れる。こうすることで、生贄を支配している
実感が湧く。
阿国の膣内の抵抗は、今までの娘たちの中で一番緩い。生娘二人は言うに及ばず、
月英の膣内もどこか遠呂智を拒む硬さがあった。
だからといって、締まりが悪いわけではない。練りに練られた肉襞は侵入者にネットリと
まとわりついて離さない。これが人間の男根なら、数回往復運動をしただけで果ててしまうだろう。
これを遠呂智は、くみやすしと見てしまった。奥まで貫くと、力任せに腰をぶつける。
「神に捧げる歌など、いらぬ。それより、貴様の悲鳴を聞かせよ」
口を犯していた蛇が、遠呂智に引き抜かれた。その頭には、粘度の高い唾液が絡みついている。
「ぷはぁ! お、遠呂智はん、こないなのがお好きやなんて……うち、堕ちる、畜生道に
堕ちてしまいそうどすっ」
阿国の口からは、苦悶どころか愉悦の言葉が発せられた。
久しぶりの大物に、阿国の身も心も高ぶっていた。侵入者の頭から根元まで、膣内を狭めて
こすり上げる。
さらには背中に両脚を絡め、逆に遠呂智を逃がさない。
しかも彼女の胎内に流れる精気は、出雲の神々の祝福を受けている。
国生みの神話を引き合いに出すまでもなく、古来日本人は性にもっと大らかだった。
一切の邪念なく男女の交わりを楽しめる阿国は、出雲の巫女として最適と言える。
そうとも知らず吸収しようとした遠呂智の肉体が、激しい拒絶反応を起こした。
「ぐおぉ……!! 貴様は、どこまでも我を!」
「遠呂智はん、ええわぁ! いんで、いんでまうぅっ!」
阿国は絶頂が近いのでそう叫んだのだろう。遠呂智の方は、下手をすれば根の国に送られ
かねなかった。それをどうにか魔王の矜持でこらえ、流れ込む精を我が物とする。それに合わせて、
阿国の自我は曖昧になり、恍惚とした表情に変わっていった。
終わりが、近い。
「はあ……うちが、うちでのうなる……ほんに、一期は、夢……や……」
それでも最後に遠呂智をたっぷりと味わうかのようにキュッと締め付けると、阿国はようやく
意識を手放した。やけに幸せそうな顔をしている。
一方の遠呂智は繋がったまま何も言わず、肩で息をするだけだった。その顔に、不思議と
怒りや憎しみは浮かんでいなかった。
一部始終を見ていた妲己が、顔をしかめる。
「おっそろしい女……ねえ、さっさと殺しちゃいましょうよ、遠呂智様」
その言葉通り、阿国の頭めがけて妖玉を振り下ろそうとする。それを遠呂智は、片手で
受け止めた。
「な……」
「この娘は強者だった。我らのために使えぬか?」
「ふーん……そういうことなら、私にお任せ♪ じゃ、交代っと」
遠呂智が阿国から大蛇を引き抜いた。彼女に多大な快楽を与えた蛇たちも、鱗となって
本体に戻っていく。
入れ替わりに妲己が阿国の傍らにしゃがみ、額に指を押し当てた。阿国の人格を作り
変えるための、秘術が始まる。
(あんなに遠呂智様を苦しめたんだもの、失敗はできないわ)
少々緊張した面持ちで、妲己が念を送りはじめた。形よい額に古の文字が次々と浮かび、
それに伴って目から正気の眼光が失せていく。
最後に阿国の全身が、断末魔のようにガクガクとわなないた。それを見届けると、妲己は
一つ、大きなため息をついた。
「ふう……これで、大丈夫だと思うけど。さぁ……」
妲己に何事かを耳元で吹き込まれ、阿国がぬっと立ち上がる。虚ろな目をして、いつもの
快活な表情は消えていた。
残された上半身の服に手をかけ、居並ぶ将兵たちの目の前でするするとほどいていく。
むしられた花びらのように、一枚一枚地面に舞い落ちる。
苦しんでいた遠呂智軍の将兵たちも、いつしかこの破廉恥な見世物に見入っていた。
とうとう足袋も脱ぎ捨て、神の踊り手はより踊り子らしい格好になった。
ァ千代と同じ背丈でありながら、乳房は控えめで、よりほっそりした印象を与える。白い肌に
刻まれた、蛇緊縛の真っ赤な痕が痛々しい。
「やっぱり、踊り子さんはこうじゃないとね。さ、これからはあなたの力、遠呂智様のために
使ってもらうわよ」
阿国はこくりとうなずいて、脱ぎ捨てた衣服を手に取った。それを即席の帯として、再び
舞い始める。乳房は剥き出しで、硬く尖った先端まで披露していた。一方で、股間の具が
見えそうな時はギリギリ帯で隠し、すべてを見せはしない。妖艶にして寸止めの舞に、
将兵たちの目が血走り、息が荒くなっていく。
そして、小喬やァ千代も、共に無毛の自分自身をまさぐって悦びを求めだした。
「あ……あのお姉ちゃん、色っぽいよぉ。何だか、おかしく……っ!」
「わ、私も……ダメ、任務が、あるのに……」
想像以上の効果を目の当たりにし、妲己は苦笑いを浮かべた。
「どいつもこいつも……お馬ー鹿さん♪」
この日より阿国は、遠呂智軍の士気を高める闇の踊り子と化した。阿国の舞は彼女のために
作られた淫靡な曲と合わさって、この世界の風紀を大いに乱していくこととなる。
阿国編 完
この物語のヒロインたちは、以下の作品にも出ています
凌統×阿国
長宗我部元親×阿国
Written by◆17P/B1Dqzo