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ねね×伊達政宗

 彼はその隻眼で、じっと闇を見つめていた。
「……ひとまずは助かったか……」
 布団の中で、伊達政宗は深くため息をつく。ここは、居城・米沢ではない。北条討伐のため、はるばる小田原まで来ていた。いや、正確には関白秀吉に来させられていた。しかも、大幅な遅参のあげく。
『もう少し来るのが遅かったら、ここが飛んでおったぞ』
 そう秀吉に言われながら、扇で首筋を叩かれたときは、さすがの政宗も背筋に冷たいものが走った。
 とにかく死は免れた。代償として、会津ほか七十万石余りが没収となってしまったが。
 思わず唇を噛む。
「悔しいが、秀吉の力は圧倒的じゃ。だが、わしには時間がある。奴の下で実績を示し、認められ、次の天下を……むっ!?」
 戦で研ぎ澄まされた五感が、微かな気配を察知した。天井板が素早く外され、何者かが飛び降りようとしている。
「ぬおおおっ!」
 政宗は布団を吹っ飛ばして、飛びすさった。一瞬後、寝ていた地点に人影が降り立った。北条か、豊臣か。誰が政宗の首を狙っていても不思議ではない。
 とっさに、立てかけてあった刀を手にし、抜き放つ。
「曲者っ! わしの寝首をかきに来たか!」
「人聞きの悪いこと言わないの。大事な話があって来たんだから」
 女の声が、聞こえてきた。曲者のくせに、やたらはきはきしている。聞き覚えがあった。
「貴様は……秀吉の妻!?」
「そっ。あたし、ねねだよ」
 昼間、秀吉の傍らに、全然忍んでいない女の忍びがいた。笑顔は弾けるように明るく、大胆に肌を見せていた。それでいて、発言は妙に年寄りくさかった。秀吉の正妻・ねねだと知って、それはそれは驚愕したものだった。
 正直言って昼間にいろいろありすぎて、かなり眠い。だが、彼女の不興を買ったりすれば、今度こそ命が危ないだろう。無断侵入もいいところだが、斬り捨てるわけにもいかない。政宗は不承不承灯りをつけ、布団の上にあぐらをかいた。
 ぼんやりと、ねねの姿が目に映る。昼間と同じ忍び装束だった。そんな格好で目の前に立たれると、政宗は何だか落ち着かない。
「で、話とはなんじゃ……ふわあ」
「うちの人が何度も呼んだのに、遅れて来るなんて……悪い子だね! 夜更かししすぎなんじゃないの?」
 ねねは腰に手を当て、文字通り上から説教してくる。相手は十代の青年とはいえ一応、大名なのに。
「ふん! 奥州から出てくるには時間がかかるに決まっておろう!」
 確かに政宗にも政宗なりの事情があった。それも、かなり重大な。それを子供みたいに叱られたら、誰だってこんな態度をとる。どこかの誰かのように、政宗はそっぽを向く。
 そっぽを向いた理由はもう一つ。闇の中に浮かび上がるねねの身体が、あまりに艶めかしいから。身体の線がくっきり浮き出て、特に布地を切り落とした腰のあたりは、思わず下から覗きこみたくなる。
(男の前でこんな格好をして……恥じらいというものはないのか)
 逆に説教したかったが、ますます長引きそうなので自重した。
 やがて言いたいことを言い終わると、ねねは大げさにため息をついた。
「ああもう、どんな育て方をしたらこんなになっちゃうんだろう」
 その一言が、政宗の逆鱗に触れた。

「なんだと……」
 跳ね起きると、ねねの肩を鷲づかみにした。顔を、怒りで真っ赤に染めて。
「きゃっ!」
 激しく揺さぶりながら、怒鳴りつける。
「わしの母は、弟が可愛くてわしを毒殺しようとした! 父上は、敵もろとも射殺するしかなかった! 貴様に何が分かる!」
 しかも母親に毒殺されかけたのが原因で、小田原に遅参した。心の傷の深さは計り知れまい。そこを言葉の刃でえぐられて、よく斬りかからなかったものである。
 ねねはしばらく呆然としていたが、その眼にみるみる涙が溜まっていく。
(うっ! な、泣くなど卑怯だぞ)
 独眼竜、意外とウブである。だがねねは、傷ついたから泣いたのではなかった。
「ごめんよ、そんなことも知らずにあたしったら……」
 そっと腕を差し伸べ、ねねは政宗を抱きしめた。たわわに実った胸乳が押し当てられ、髪から芳香が漂ってくる。
「なななな――!?」
 先ほどまでやかましく説教していた女が、急に慈愛に満ちている。政宗の気が動転するのも無理はない。怒りとは全く別の感情で、顔が朱に染まった。
「だったらあたしが、人の温もりってものを教えてあげるよ。もちろん、他の人には内緒でね」
 ねねは政宗の顔をのぞき込み、微笑んだ。
(気を緩めるな……! これは色仕掛けっ……罠に違いない……!)
 政宗は、必死に自分に言い聞かせる。
 それを察したねねは、いったん離れた。得物の巨大な手裏剣を畳の上に捨てる。そして帯をほどく。忍び装束の前が、だらしなく開いた。極細の鎖で編まれた極薄の鎖帷子が、肢体を淫靡に包んでいる。
「お、おい! いきなり何をしている!?」
 闇の中でも、衣擦れの音とねねの動作から、何をしているかはすぐに分かった。上着をたくしあげると、美乳がプルンと震える。鎖帷子を脱ぎ捨てると、無駄肉なき生足がさらけ出された。下着は履いていない。股間で翳っているのは、すなわち……
「これで納得したでしょ? あたしが、あなたの命を狙ってないってこと」
 足袋も脱ぎ捨てた。とうとう、ねねはまさに丸腰の、生まれたままの姿になった。
 暗闇の中に、女体が淡く浮かぶ。全身が引き締まり、乳も尻もツンと上向いて形良い。どう見ても政宗を子供扱いするには若々しすぎる。実際、姉と弟程度の年の差なのだろう。
「ほら……」
 隠すことなく、ねねは両手を広げて政宗を迎える。そのまばゆい裸体に何を見たのか。逡巡していた独眼竜が、ふらふらと引き寄せられていった。

 布団のそばに、寝巻と下帯が広がっている。政宗も真っ裸になり、布団に潜り込んでいた。夜はまだ寒く、お互いの温もりが心地よい。
「夫に内緒で、こ、こんなこと……ちゅばっ」
 政宗は一心にねねの美乳をさすり、揉む。顔を密着させると、桜色の乳首を吸い始めた。舌をほとんど動かさない吸い方は、赤子に似たものさえある。政宗、まだまだ青い。
「うふふ。悪い子を立ち直らせるのも、あたしの役目なんだよ」
 政宗の頭を、ねねは赤子をあやすように撫でてやる。
「これでは……ちゅううっ……」
ますます道を踏み外すだけだ、と政宗は言いかけた。しかしもう、ねねと抜き差しならぬことになっている。そんなことを言える立場ではない。
 お返しにねねは、細い指先を政宗の陽物に添えた。まだ少し、縮こまっている。しかし慣れた手つきでくすぐると、若い陽物は見る見る大きさと硬さを増してくる。それを感じ取り、ねねは目を細めた。起ち上がってきたところでしっかりと握り、上下にしごく。
「くおっ! そ、そこはぁ」
 政宗は敏感に反応した。自分しか知らないはずの手淫のツボを、この母親気取りの女は自分以上に巧みに押さえている。
「緊張しなくていいんだよ。あたしを信じて任せなさい」
 すべすべの脚を、政宗の脚に白蛇のごとく絡めるのも忘れない。ウブな青年の勃起はますます膨張し、先走りの汁がねねの手や下腹部をベトベトに汚していく。
「はぁおっ、あああっ……ん、んむーっ!?」
 喘ぐ政宗の唇を、ねねは自分の唇を重ねてふさぐ。舌まで入れ、政宗の舌と絡め、唾液を交換する。唾液滴る舌の貪欲な動きは、女盛りそのものだった。上から下から襲い来る快感で、気が遠のきそうになる。
 もちろん、ねねも一方的に奉仕しているだけでは満たされない。政宗の手を取って、優しく下腹部へと導いた。茂みのさらに奥、ねねの女自身に。熱を帯びてはいるものの、まだまだ潤いが足りない。その下ごしらえを、政宗にさせようというのだ。
「はあ、はあ……女は準備ができてないと、気持よくなれないの。ここ……擦って。優しくね」
 コクコクと素直にうなずき、政宗はぎこちなく指を動かし始めた。縮れた毛足も、複雑な花弁も、ぼんやりと想像していたたたずまいとはまるで違う。
(お、女のここはこうなっておるのか。もっとツルツルだと思っておったが)
「あっ! そ、そこいいよぉ……もっとぉ」
 ぷっくりと膨れた突起に触れると、ねねが甘い声をあげて悶える。それが少しずつ自信となって、政宗の指は滑らかに動くようになっていく。その指を太腿で挟み込み、ねねも腰をモジモジと振った。先ほどまでとは逆に、滲みはじめた蜜が政宗の指に絡みついていく。
 指は陰核の下の小穴をも探り当てた。
(この裂け目……ここにわしのを突っ込むのか)
 経験がなくとも、その程度のことは推測できる。指はズブズブと、秘裂へ潜り込んでいった。
「はひいっ! いいよ、でもあまり乱暴はダメだよ……んあっ、はふっ」
 そこは湯のように熱い。しかも、濡れそぼった肉が痛いくらいに指を締め付けてくる。蜜は、まさぐることでさらに吐き出されてくる。ねねが、身も心も政宗に開いている証だった。
 ちゅく、くちゃ、くちゃ……
 物を口いっぱいに入れて頬張るような粘着音が立ち、汗やそれとは違う体液が織りなす甘酸っぱい匂いが鼻腔を満たす。今や、政宗の五感すべては、ねねとのまぐわいに振り向けられていた。
「こんなに濡らして……」
「もうっ! お互いさまでしょ……」
 引き抜いた指先で糸引く体液を眺めていると、もう欲求を抑えられそうになかった。たとえ、繋がった先に待っているのが身の破滅だとしても。

 見上げるねねの上に、政宗は覆いかぶさった。
「おいで」
 ねねの囁きに、罪悪感は感じられない。限りない慈愛が、微笑みとなってあふれ出している。
 政宗は、勢いよく腰を突きだした。直接見ていないので、何度か割れ目の上を滑ってしまう。が、ぴたりとはまる感触がある。どうにか入口をとらえたのだ。あとは、難しい話ではない。硬く勃起した若々しい逸物が、こなれた肉襞の中へと埋没していく。
「んっ、くううっんっ……ね、あったかいでしょ?」
「う、おお……これは……なんという……」
 まるで母か姉を犯したような、とてつもない罪悪感が襲ってくる。しかも相手は、人妻なのだ。それでも禁断の果実は、あまりに甘美だった。根元から竿先まで、熱く優しくいやらしく、肉が絡みついてくる。もっと、味わいたい。
「うおおうっ! おお、おおっ」
 政宗は本能のまま腰を振り立て、初めての女体を貪る。指を入れていた時以上の粘着音が、耳に響く。二人の汗と分泌液の匂いが、渾然一体となって寝所を満たす。
「あっ、あんんっ! 政宗のお珍宝が、あたしの中で暴れてるよおっ」
 あからさまにわめきながら、ねねも政宗を締め付け離さない。長年寄り添った夫の持ち物もいいが、若者の男根はまた新鮮な快感を生んだ。
「と、当然じゃ! わしは竜、独眼竜じゃっ! くおおっ」
 しかし、初体験の政宗はとてもではないが長くこらえられない。射精感が湧きあがってくると、放出を止めることなどできない。相手が誰だか分かっていても、外に出すなど考える暇もなかった。
 ねねもそれを察していた。
「大丈夫、だよ政宗っ……あたしはいつでも、大丈夫だからっ」
 その言葉を裏付けるように、両脚で政宗の腰を挟み込む。子宮口がくっと下がり、そこに鈴口がくちづけた。
「うっ……あぁあ――っ!」
 本能の赴くまま、とうとう政宗はねねの胎内に精を放った。精巣の奥底から絞り出された子種汁は、先を争うように人妻の子袋へと注ぎこまれる。
「あっ、凄い……あっあたし、政宗に、政宗にぃっ――!」
 夫とはまた違う若々しい情熱の奔流に、ねねもまた意識を押し流されていった。

「何かが間違っているが……懐かしい気持ちになれた……」
 息を切らす政宗の背中に、ねねは優しく囁く。
「一人でできることなんて限られてるんだから……うちの人に、力を貸してあげてね」
 そして、閉じたままの彼の右目に、唇を軽く押し当てる。実の母は、このようなことを決して、してはくれなかった。
「ふん……今はおとなしくしてやるわ……」
「いい子だね。じゃ、行くね」
 その言葉に、政宗は慌てて振り向いた。
 ねねは煙のように消えていた。服も何も残っていない。布団に温もりだけを残して。
「しょせん、他人は他人じゃ……馬鹿め……」
 布団を抱きしめ、独眼竜は眠りについた。

 その後政宗は、少なくとも表向きは秀吉に従うようになった。
『さすがの独眼竜も秀吉の叱責がこたえたのだろう』
人々はそう、噂しあったという。

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Written by◆17P/B1Dqzo