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豊臣秀吉×ねね

 長かった。小田原城で離ればなれになり、人づてに互いの無事は聞いていた。何度か手紙もやり取りした。だが、互いの顔は遠呂智が倒れたこの時まで見ることが叶わなかった。
 秀吉とねね。二人にはもう、伴侶の姿しか見えていない。
「お前さまー!」
「ねねー!」
 駆け寄り、人目もはばからず抱き合い、号泣する。それを奇異に思う者はいない。至るところで、同じような光景が繰り広げられていたのだから。

 その夜。仮住まいの狭い風呂釜に、秀吉夫妻は肩を寄せあい浸かっていた。遠呂智のせいで居城の長浜城がどこかに飛んで行ってしまったせいなのだが、長年の下積みを思えば苦にはならない。
 秀吉がしばらく見ないうちに、ねねの裸体は今までの倍ほども美しくなったように思える。手足は引き締まり、出るところはさらに豊かになった。会えなかった時間が愛を育てたのか、苦労が女を磨いたのか。
「遠呂智は倒れたけど世界は元に戻らないし、これからどうするんだろうね」
 さすがのねねも、先行きは不安らしい。
「うーむ。今まで競ってた天下取りが、まったく無意味になっちまった。まあええじゃろ。みんなが笑って暮らせるんなら」
 さすが秀吉、前向きである。
 しかし、ねねにはもう一つ不安があった。ぼそっとつぶやく。
「三國志の世界からやってきた女の子たち――可愛いよね」
「な、ななな、何を突然言うんじゃ?」
 必要以上に動揺する秀吉。ねねはすぐに察した。夫の悪い癖を。
「おーまーえーさーまー? あたしがどれだけ心配したと思って!」
 とたんに両手を合わせて、秀吉がペコペコ頭を下げる。
「すまん! じゃが話しかけるなという方が無理というもので」
「駄目、許さないっ」
 そう言ってねねは秀吉に抱きつき、強引に唇を奪った。
「んん――!?」
 唾液が糸を引くほど、熱烈に舌を絡める。ねねにも、秀吉の寂しさはよく分かっていた。そこですぐ行動に移してしまうのがサルの悪いところなのだが。
「ぷはあ……やっと会えたんだもの、今夜という今夜は逃がさないよ!」

 お湯に浮かぶねねの乳の谷間に、秀吉は顔をうずめ、頬ずりする。大きさと張りを兼ね備えた見事な豊乳で、静脈が浮き出るほど色も白い。そして、湯たんぽのように温かい。
「こうすると落ち着くのう〜」
「ふふ。甘えん坊さんだね」
 ねねは子供をあやすように、秀吉の頭を撫でてやる。誰でも子供扱いするのがねねの癖である。とは言ってもここまでさせるのは、もちろん夫である秀吉以外にはいない。
「よいしょっと」
 ねねは上半身をお湯から出す。それを待っていたかのように、秀吉が乳頭に吸いついた。浴室には、チュパチュパと乳を吸う音が静かに響く。
「あっ……んああ……そんな風に吸っちゃダメだよ……アッ、アッ!」
 ほどなく、ねねの声に甘いものが混じり始めた。相手は大人の男なのだから、乳頭を舌先で転がしつつ軽く甘噛みなどもしたりする。左も、右も、まんべんなく。
「あはああっ……すごくいいよ、お前さまぁ……はう! はうう!」
 敏感に反応し、身をよじる妻を見ていると、秀吉の興奮は急速に高まっていく。股間の逸物はもちろん、頭にも血がのぼってきて、本当に鼻血を吹きそうに思えてきた。
「いかん、このままだとのぼせる。ねね、一度外に出ような?」

 手に手を取って、夫妻は風呂釜から出た。お湯に濡れ光るねねの裸身が艶めかしい。
 そんなねねを秀吉は丹念に洗う。うつ伏せに寝かせてから、まずはむっちりした尻肉を両手でつかみ、円を描くように撫でまわす。その手触りは以前よりもすべすべで、しかも弾力も増していた。指だけでは飽き足らなくなってくる。秀吉は妻の桃尻にためらうことなく顔を近付け、舌を伸ばして舐め上げ、舐め下ろす。そのたびに、ねねは腰をいやらしく振って悶えた。
「あぁ……そんなに激しく……ダメぇ」
 このダメは『もっとして』と言っている。それが分かっているから、秀吉は攻め手を緩めない。腰を上げさせ、ぐっとつかみ、尻肉の狭間をあらわにした。
 二つの魅惑的な孔が、秀吉の前に晒される。秀吉はより複雑で、恥毛に彩られたほうに鼻先を突っ込んだ。黒々とした縮れが、顔面を擦る。その向こうでほころぶ秘裂を、舌先がとらえる。
 がっつくように、舌が蠢いた。外にはみ出した花弁がついばまれ、さらに鮮やかな内部粘膜まで餌食となる。
「んぷっ……じゅる、ちゅばっ」
「はぅあ! ああお前さま、お行儀が悪いよぉ! はひいっ、ふあああっ、あ、や!」
目を見開いて、ねねが嬌声を漏らし始める。上の口が饒舌になるのとあわせて、下の口も正直に涎を垂らし始めた。洗えていないような気もするが、それは気のせいというものだ。
「んぐんぐ……わしだって、ふうぅ、ずっと我慢してたんじゃ」
「え、それって……」
 さすがにこの状況で、他の女と一線は越えていなかった。現代なら当たり前のことだが、ねねは夫の我慢が素直にうれしかった。思わず、局部を夫の顔に擦りつけてしまう。
 秀吉は、顔を限界まで突っ込み、一番敏感な豆を嬲る。
「はうああっ! そ、そこ、お豆がいいのぉ! 凄く感じる、お前さま素敵いぃっ」
 腰をカクカク振り、太腿を震わせて、ねねはあけすけな声を出す。乳房も濡れた床に擦りつけ、少しでも快楽を増そうとする。
 秀吉もいい加減舌がつりそうだったが、そんなことは気にならない。温かく、かすかな塩味の液体が喉を通るたび、飲み下していく。
「あひぃ……! あ、あたし、ダメ……死んじゃう……」
 ねねの視界には桃色のもやがかかっているようだった。目尻に涙を浮かべ、口の端からはしたなく涎を垂らす。そして今一度顔をぐっと上げ、口を大きく開いた。
「あ、あ、ア――ッ!!」
 夫の顔面に盛大にしぶかせ、ねねは久しぶりの絶頂に崩れ落ちた。

「お、おい、大丈夫か」
「う、うん……今度はあたしの番だね」
 ねねに言われるまま、秀吉は洗い場に寝転んだ。それほど大きくはない男根の上に、ねねは上体を預ける。見事な豊乳に唾液をまぶして竿全体を挟み込み、優しく擦る。膣内とはまた一味違う柔らかさと温もりに、秀吉は鼻息を荒くした。
「んしょ、んしょ。こんな感じで良かったっけ?」
「おほおーう、極楽極楽。誰が最初に、こんなこと考えたんじゃろうな」
 18世紀フランスで、かのポンパドゥール夫人が編み出したと言われているが、男と女の歴史はそのはるか前から連綿と続いているのだ。案外、妲己あたりかもしれない。男をたぶらかすために。
「まだまだ、これからだよ。ねね忍法!」
 そう言うや否や、ねねが二人になった。ご存知分身の術で、豊乳も当然2つから4つへ倍増する。それが向かいあって同時に肉棒を挟み込み、押し合いへしあい擦り上げる。
「おああ! こりゃたまらんっ!」
「そう言ってくれると嬉しいよ、お前さま。あたしも、興奮しちゃう……んっ」
 さらに目の前で、ねねは自分で自分に口づけしてみせる。この世のものとは思えない光景だった。
 この男殺しの術を、ねねは夫以外に使ったことがない。男は腰砕け間違いなしだというのに。その意味では、女忍者らしからぬとも言える。
「ねね、そ、それくらいで勘弁してくれんか」
「ありゃ、もうなの? ちゃんとご飯食べてた?」
 気持ちよすぎで放出されては意味がない。最後にありったけの愛情をこめて竿先をねぶり、甘美な責めは終わった。
 準備は万端整った。

「来て、お前さま」
「ああ、望むところじゃ」
 ねねに秀吉が覆いかぶさり……というより猿のように飛びつき、陽物を押し当てる。少し腰を進めるだけで、すでに濡れそぼっていた媚肉はたやすく夫を受け入れる。
「ああ……ちっとも変わらない。あたし、帰って来たんだね……」
 ねねがそっと、秀吉の背に手を回す。に大きさや硬さの問題ではない。生き別れになって以来、ずっと空いていた部分が、夫によって満たされる。これ以上の幸せが他にあるだろうか。
 一度奥までしっかり入れてから、秀吉は猛然と掘削を始めた。ねねのぷりぷりした肉襞はその一つ一つが熱烈に絡みついてくる。心から、夫の帰りを歓待している証のようだった。
 秀吉も全力で、無心に突き込む。会えなかった時間を、自分自身で埋めるかのように。
「うはっ、やっぱり、ねねの中が一番じゃ!」
「あぁん、お、お前さまのも天下一だよぉ!」
 秀吉は他の女と比べている。ねねは秀吉以外に男を知らない。その違いが、ねねの心にチクリと刺さる。それでも今は、再び繋がった悦びの方が圧倒的だった。素早い腰遣いで、二人はともに上りつめていく。
「ねね、わしゃもう、た、たまらんよ……出してええか?」
「うん、来てお前さま! あたしのいちばん奥まで、一滴残らず注いで!」
 二人はさらにきつく抱き合った。肉襞すべてが夫のモノを先から根本まで擦り上げる。限界を超えた秀吉の玉袋から、ねねのもっとも待ち望む物が尿道を駆け上がり……子袋へと噴き出す。
「うっ……おおお……」
「あは、いっぱいだね。こんなに出してくれたら、きっと……」
 その熱い血潮を最奥で感じ取り、ねねは目を細めるのだった。

 ずっと抱擁し合っていた二人が、ようやく結合を解く。繋がっていたところから、男と女の混合液がどろりと垂れ落ちた。二人は荒く息をしながら、並んで仰向けに転がった。乳頭が勃起し、せわしなく上下するねねの豊乳から、秀吉はどうしたって目が離せない。
 すると、ねねが天井を見上げたままぽつりぽつりと話し始めた。
「あたし、怖かった。いつか、遠呂智とか化け物に犯されるんじゃないかって。人間離れしたモノに蹂躙されて……」
「おいおい、そりゃ笑えんわ」
 だがその光景をつい思い浮かべたとき、秀吉は不覚にも勃起してしまった。今のように脱力しきった妻の手足に、大蛇のような逸物が絡みついたとしたら……なんと淫靡な情景であろうか。それ以上の行為は断固認めないが。
 夫の屹立に、ねねもすぐに気がつき、頬を赤らめる。
「や、やだ……あたしがそんな目に遭ってほしいのかい!?」
「あ、いや、お前の言い方が凄くて、つい」
 するとねねは立ち上がり、秀吉に背を向けておどけた仕草で逃げ出す……なぜか湯船の方へ。
「あたし、つかまえられる!?」
「あ、待て待てーい!」
 秀吉もまた、彼女の尻を追って湯船へ飛び込んだ。盛大にしぶきがあがる。
 ねねは追いつめられる側を熱演する。隅まで後ずさり、さらに背を向けて風呂場の壁に手をついた。湯に濡れる桃尻が、夫の『襲撃』を待っている。
「ふ、ふふ……逃げ場はないみたいだね……」
「ああ、覚悟するんじゃ!」
 秀吉もすっかり悪者になりきって、ねねの胸を鷲づかみにした。その態勢で、湯の中でねねを貫く。
「んあぁあぁっ! お、お前さま、さっきより凄いいぃっ」
 口から舌まで飛び出させて、ねねは声を限りに嬌声を上げた。
「ね、ねねこそ。こんなに締まるのは初めてじゃ」
 襲い襲われる。愛しているからこそ現実にはありえない状況設定で、二人はさらに燃え上がった。風呂釜に激しく波が立つ。
「お前さま、お前さまあぁぁ」
「ねね、誰にも、こんなことはさせん。どんなに世界が変わっても、わしゃねねだけは離さんぞ」
 猿芝居はもうどうでもよかった。ねねは大きくうなずくと、頭だけ後ろを向いた。接吻をせがむ妻の唇を、秀吉は貪るように吸う。
「ん……む……」
「んっんっん――っ!!」
 再びおしどり夫婦に戻った二人は、舌を絡めながらより深く繋がっていく。粘膜と粘膜が一分の隙もないほど密着し、擦れ合う。そこから生じる快楽の波が二人の意識を押し流すまで、風呂場には嬌声が絶えなかった。

 この後、秀吉が約束を守り切れたかどうかは分からない。だが復活した遠呂智との最終決戦において、秀吉の隣にはねねが寄り添っていた。それだけは事実である。

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この物語のヒロインたちは、以下の作品にも出ています
ねね×伊達政宗  石田三成×ねね  ねね×くのいち  遠呂智の淫謀 ねね編

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Written by◆17P/B1Dqzo