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遠呂智の淫謀 ねね編

 遠呂智軍は、九州の反遠呂智勢力を吸収。次の標的を冀州の忍者軍団に、いや、それを
率いるねね一人に定めた。
 猛攻の前に軍団はあえなく崩壊。脱出を図ったねねも捕縛されてしまった。遠呂智の待つ
古志城に連行されたねねを、目を疑うような光景が待ち受けていた――

「な、何よこれ。ねえみんな、何してるのっ!?」
 ねねの呼びかけに答える者は誰もいない。
 広間の中央で、魔王・遠呂智が仁王立ちしている。腕を組んだまま、微動だにしない。
その股座から四匹の大蛇が伸びていた。床を埋め尽くすほどにうねり、這い回る。その頭は、
四人の娘たちを貫いていた。

「はぅああんっ! お、遠呂智様、今宵も私の膣内に、存分にお情けを……いっぱいっ!」
 月英が立ったまま脚を開き、下から突き上げられている。服はと言えば、首からかけた
薄い絹の前掛けだけ。背後から見れば、何もかもが剥き出しだった。理知的な顔立ちは見る影もなく
蕩け、これが数々の発明をした才女とは信じられない。
 精ならぬ毒液が子宮口に注がれるたび、身を震わせ狂喜する。女ざかりの肉体はすでに
諸葛亮を捨て、遠呂智を新たな主に選んでいた。

「遠呂智さまぁ、んあ、気持ちいい? こうしてぇ、はひぃ、あ、あたしが動くとぉ!」
 床からわずかに持ち上がった蛇の頭に、小喬が繰り返し腰を落としている。
発展途上の胸や腰を、色とりどりの花で覆っている。裸体を花で飾った妖精にも見えるが、
光の消えた瞳が彼女の精神状態を雄弁に物語っていた。本来の人格も周瑜への
想いも消され、歪んだ好奇心だけが今の彼女を満たしている。挿入するたび角度を変え、
幼い劣情を追求していた。

「あぁ…… ほ、ほんにたくましいどすなあ。うち、もう離しまへんえぇ……」
 わずかな黄金の装身具だけを着け、阿国は床に寝そべっていた。その言葉通り蛇を媚肉で
キュッキュと締め付け貪っている。それだけでなく、柔らかな足裏で蛇を挟んでしごき
立てている。踊り子らしい軽快な律動は、やはり神よりも肉欲に捧げるのがふさわしい。

「あふぅ……これはただ、遠呂智様に我が精を差し上げる務め。べ、別に悦んでなど、
あおおぅん!」
 四つん這いで後ろから突き入れられ、たまらずァ千代が犬のように吠えた。四人の中で
一番の長身でありながら、女陰のたたずまいは童のように幼い。そこに野太い蛇が犯すと、
肉付き薄い尻を振って悶える。同時に汗のにじんだ美巨乳が、前に後ろに揺れ動いた。
乳輪と恥丘に貼られた鱗は、もはや淫らさを引き立てる道具にすぎない。女ではないと断言し、
全身を甲冑で覆っていた女丈夫は、見事なまでに堕ちていた。

「ぎ、ァちゃんまで……」
 今や遠呂智の肉人形と化した娘たちの四重唱を、ねねは呆然と聞いていた。手枷をされ、
妲己が隣にいるとはいえ、忍術で脱出を試みることさえ忘れていた。
 狂宴は永遠に続くかと思われたが、さすがに一人また一人と力尽きていく。最も体力の
あるァ千代が嬌声をあげて突っ伏すと、広間にしばしの静寂が訪れた。痴蜜まみれの四つの
蛇頭が、ズルリズルリと引き抜かれて本体に戻っていく。
「ねえ、言ったでしょ」
 ねねの耳に、妲己が息を吹きかけ、囁く。
「あの子たちを抱いてから、遠呂智様のアレは凄くなる一方。もうね、並の女じゃ挿れられた
だけで干からびちゃうわ。だから」
 突如、空中に妲己が浮かび上がった。見る見るうちに上空へと達し、その姿が小さくなっていく。
「あなたもきっと、お猿な旦那のことなんて忘れちゃうわよ。じゃーねー♪」
「そんなこと、あるわけないでしょっ!」
 ねねは顔を真っ赤にして怒鳴ったが、相手は既に見えなくなっていた。
「どんなことされたって、あたしはあの人のことを……」
「忘れぬと申すか」
「うわぁ! ななな、何よあんた」
 いつの間にか、青い肌の魔王がねねの眼前に立ちはだかっていた。心臓に悪いことこの上ない。
「我の贄となった女たちも、よくそう言っていた。そして、すぐ忘れていった。フ、男女の
情愛とは脆いものだな」
「みんな、そんなことばかり言って! 悪い子たちだねっ」
 遠呂智の嘲るような口調に、ねねはカチンと来た。反射的に、魔王を睨みつける。
 その時、魔王もねねを凝視していた。紅と碧の両眼に加え、鎧の胸部に付いた三つの目までが、
彼女の目を覗き込む。
 気味悪く思いながらも、ねねはいつもの調子でまくし立てる。
「ちょっと、そこに座りなさい。みっちりとお説教して――」
 威勢のいい言葉が、そこで途切れた。

「えー……と…………」
 ねねが無言で立ち尽くす。ただ遠呂智の口元を見つめている。何をなすべきか忘れてしまい、
指示を待っているかのようにさえ見える。
「さて、夜伽を始めるとしよう。我に刃向かいし忍の娘よ」
『逆らって捕まったのだから、自分にやらせろ』と言っているわけで、ねねが正気であれば
眉の一つもしかめるだろう。
「うん。あたし、お前様のために、ガンバるよぉ」
 即答だった。大きな瞳を潤ませて遠呂智を見上げ、口元には期待に満ちた笑みまで
浮かんでいる。
(かかった。忍者軍団の頭というが、他愛ない)
 遠呂智は青紫色をした唇の端を吊り上げた。ついさっきまでの四人同時の営みが、遠呂智の
術をより強化していた。ねねでさえ、抗えないほどに。
 あらためて、贄の娘を眺め回す。言葉遣いこそ年寄りじみているが、二十歳前後にしか
見えない。実際、それくらいの年だと思われる。
 防具はきわめて薄い。忍装束は胴体を覆うのみで、手足は網と言ったほうがいいような
鎖帷子に覆われていた。伸びやかな脚線が、素肌を隠すことでさらに強調されている。
 その上、胸元や背中、腰の部分があえて切り取ったように露出している。当然、くっきり
刻まれた谷間や盛り上がった尻丘が、目に飛び込んでくる。これではいくら説教したところで、
男たちは悪い子になるばかりだろう。
 母親そのものの真面目な心と、男を惑わす肉体。彼女のように矛盾に満ちた存在を、
魔王は好んだ。
「その罪に相応しい価値、期待している」
 魔王の指先が、忍装束にかかった。

 また一片、布きれが女忍者の身体を離れた。
 ねねの足元に、千切れた忍装束が散乱している。遠呂智も最初は帯をほどいたりしていたが、
あまりに細かい作業に飽き、忍び装束を適当に引き裂き始めた。
 上着はともかく、その下の鎖帷子は刀でも容易に斬れない強度を持つ。しかし遠呂智の
前では、紙に等しい。野菜の皮でも剥くように、ねねの素肌をあっという間に露出させていく。
「お前様ぁ、今日はずいぶん強引なんだねぇ」
 胸元を両手でつかまれたところで、ねねがつぶやいた。
「嫌か?」
 答える代わりに、両手を頭上に上げた。網の下に乳房を包む布はなく、淡い乳輪までが
はっきりと見て取れる。
 ねねは頬を染めてはにかんだ。遠呂智を秀吉と思い込んでいるのか。幸せそうな
表情が逆に正気でないことを物語っていた。
 力任せに左右にはだける。網の下で窮屈そうにしていた胸乳が、震えて飛び出した。
椀を伏せたように形よい。その頂点では乳首がぴょこんと飛び出し、見ているだけで吸いつきたく
なってくる。ほんの少しだけ汗の混じった素朴な匂いが『みんなのお母さん』たる
彼女らしい。
 最後に、股と尻の鎖帷子がむしり取られた。局部に直接網が当たると痛いため、布が
あてがわれている。その中央が薄く色づいていた。遠呂智はまじまじと観察する。
「なるほど。この染みは貴様が生きている証か」
「や! やだよお前様。そんなのより、あたしをちゃんと見てよね」
 言われるまでもない。布きれを投げ捨てて、遠呂智はすぐに興味をねねの肉体へと戻した。
『男に媚びたような』とは、こういう姿を言うのだろう。
 腕は肘から先、脚は太腿の半ばから下だけを網で覆っている。胴体は糸くず一本残さず
剥きあげられていた。褐色の網と色白の素肌の対照が眩しい。
 下腹部を飾る叢は、毛足が長くて濃い。ただ、伸び放題にはしてない。夫に見られることを
意識して、よく手入れされていた。
 こんな格好を強制されたねねも、まんざらでもない。夫を惹きつけ、虜にしていると
思うだけで、女芯が早くも疼く。

「ねえ、お前様。久しぶりだからちゃんと口吸い、して」
 ねねはそっと目を閉じ、あごを突き出した。よくしゃべる唇も、黙っていれば小ぶりで
愛らしい。
 なぜそんなことを求めるのか、遠呂智には分からない。取りあえず言われるまま、青紫色の
唇でねねの血色良い唇を塞ぐ。傍から見ると怪奇極まりない。
「んぅ……ちゅ」
 ねねはそんなことは気にも留めず、顔を傾け、自分の唇を積極的にこすりつける。
(ほう、これは良い)
 別に、初めての口づけに胸をときめかせているわけではない。
(この女のことが、我がことのように分かる)
 脳に近いからなのか、触れた唇を通じてねねの記憶が流れ込んでくる。舌を入れてきたので
真似をすると、記憶はいっそう鮮明になった。
 記憶の再生は、夜の営みにまで及んだ。寝所で本当の夫の肉棒を美味そうに頬張り、
しゃぶる。ほどなく男がうめいたかと思うと、精を口内に放った。
(なるほど。人間にはまだ、使える穴があったな。この女で試してみるか)
「ぷはあっ」
 二人の唇が、ようやく離れた。唾液が白銀の糸を引く。
「うふふ。お前様も、今夜はガンバってね……」
 ねねはすっかり、甘い予感に胸を躍らせていた。その双眸が、驚愕に見開かれる。
「ええぇ!? こ、これ、お前様の!?」
 秀吉のモノよりはるかに長大な蛇が、眼前に突きつけられていた。
「どうした、恐ろしいか」
「う、ううん。びっくりしてるだけ。いつの間に、こんなにたくましくなったのかな、って」
 ねねの顔の前でくねり牙を剥く様は、どう見ても人間の生殖器ではない。それも判断
できないほど、ねねは遠呂智に心奪われてしまっていた。

 ひざまずき、小さな両手で大蛇を握り締める。
「凄く、硬いね。じゃ、あたしガンバるよ。んちゅっ♪」
 ついばむように、彼女は遠呂智の大蛇に口づけた。これが秀吉なら心地よさにうめくところだが、
遠呂智には何の感慨も与えない。
「緊張してる? あ、あたしも……ちゅぱっ、れろ……んっ」
 記憶と違う大物に、ねねは戸惑っていた。頭を舐めるだけで一苦労している。雁首も形が
違うし、竿にいたってはどこまで舐めればいいのか見当も付かない。それでも愛する夫を
悦ばせようと、妻は懸命に舌を使った。必死の口淫にいつしかねね自身が興奮し、
剥き出された尻がモジモジと揺れていた。太腿を、下の口の涎が伝う。
「はぁ、はぁ。ねえお前様、気持ちよかったら我慢しなくていいんだよ」
 そう言うと、ねねは口をいっぱいに開いた。自ら蛇の頭をくわえ込もうとしている。
「ほっへほひはよ(とっておきだよ)……あむうっ」
 太さは常人より二回り太い程度なので、不可能ではない。あごが外れそうになりながらも、
頑張って蛇頭を口内に収めた。ほどなく、ねねの頭が前後に動き出した。同時に舌も
蛇の頭に絡め、健気に口唇愛撫を施す。涙ぐましい努力はさらに続いた。頬をすぼめて
柔らかな内部粘膜を押し当てたり、息が続くまで吸引したり。
 しかし、一向に放出されない。そもそも大蛇たちには快楽を感じる神経も射精の機能もない。
あるのはただ、女を犯し毒液を放つ陵辱器官の役割のみ。
(あ、あたし、下手なのかな? ゴメンね、ゴメンね)
 そうとも知らず、ねねは一方的に自分を責めてしまう。先ほどまでの高揚はどこへやら、
不甲斐なさにすっかりしょげていた。
 その時、今まで大人しくしていた蛇が急に口を大きく開けた。白濁した毒液が、大量に
口内に流れ込む。
「ふぐ!? んっ、んっ、ん――!」
 あふれる液体にねねは喉を詰まらせ、目を白黒させた。だが、ほどなく彼女は落ち着き
を取り戻し、喉を鳴らして飲み下し始めた。
(よかった。お前様、感じてくれてたんだね)
 吐き出された物を秀吉の精液と信じきっている。それにしては量が多く飲みやすいことに、
疑問を抱くことさえなかった。
 口や喉の粘膜から吸収された毒は、ねねの心身を徐々に蝕んでいく。身体から力が抜け、
頭がぼんやりとして考えがまとまらない。こうして彼女はまた一歩、遠呂智の贄へと近づいた。

「お前様……次、は?」
 朦朧とする意識の中で、どうにかそれだけを声にできた。足元がふらつき、今にも
倒れそうになる。
「そうだな。たまには趣向を変えるとしよう」
 遠呂智はねねの背後に回った。片手で抱きかかえながら、もう片方の手で尻の割れ目を探る。
「んぁ! も、もう……?」
 秘裂を指で責められるのかと、ねねは思った。しかし、指の向かった先は秘裂よりさらに
上である。
 少しくすんだ色をした、繊細な菊花。好色な秀吉さえも、そこは散らしていなかった。
「この穴、貫く価値があるのか? 確かめさせてもらおう」
 放射状の皺の中心に、魔王の指先がめり込んでいく。第一関節、第二関節……
「ひっ、ぐああっ!? そっちは、そっちはまだ!」
いくら心神耗弱状態にあろうと、肛門へ異物を挿入されればねねも拒む。
何とか腰を浮かせ、逃れようとする。それを許さず、とうとう遠呂智は指一本を根元まで
押し込んだ。出るところに入れられ、耐え難い不快感がこみ上げてくる。
「かはっ! い、嫌だよ、お尻は嫌ぁ!」
「調べるぞ。貴様の臀(しり)の価値を、な」
 直腸内を、遠呂智の指が時計回りに触診する。ねねの額には脂汗が噴き出し、歯は
ガチガチと鳴った。
「あぁあ……お願い抜いて、後生だから」
 哀願されたところで、耳を貸す遠呂智ではない。黙々と、尻穴から情報を読み取っていく。
(なかなかの精気が宿っている。しかも交わりに使ったことがないのか。楽しめそうだ)
 おもむろに、指が引き抜かれた。もちろん、ねねは少しも喜べない。もっと太く長いものが
第二の処女を破るのは、火を見るより明らかだから。

 遠呂智は股間の大蛇から、吸精用の道具を作り出していた。一部の鱗が、さらに一匹の
蛇となる。いつも女陰を貫くそれよりはかなり細く、その代わりに長い。
 両腕でねねを羽交い絞めにし、肛虐用の蛇だけを桃尻の谷間に滑り込ませる。蛇はすぐに
ねねの排泄孔を探り当て、舌先でつついた。
「アッ、アッ! ダメ……それはダメだよ……」
 ねねが、力なく首を振る。
「さあ、貴様も愉しめ」
 遠呂智が、先端を潜り込ませた。
「う、がああぁっ……!」
 鋭い痛みが菊座を襲う。耐え切れず、網に包まれたねねの手足がでたらめにばたついた。
括約筋は蛇を絞め殺しそうなほどの力を示すが、そこから先は抵抗がない。腸内も空っぽ
だったため、蛇は暗黒の洞窟内を突き進んでいく。曲がりくねり、体の大半をねねの中に
収めた。
「クク……そんなに嬉しいか。締め付けが凄まじい」
 ねねは口を利けない。肛門のみならずその奥まで犯された衝撃で、意識が混濁していた。
不随意的に、括約筋が異物に反応しているに過ぎなかった。
「さて……ここから吸うのは初めてだが」
 ねねの柔らかな腸壁から精気があふれだし、遠呂智へと吸収されていく。生命力の豊かさは、
他の娘の膣内と比べても遜色ない。
(量は申し分ないが。妙に、ぬるいな)
 分け隔てなく母性愛を振りまくねねの精気は、春の陽射しのように温かい。人柄がにじみ
出ているのだろう。だが、孤高の魔王には温度の変化としか感じられなかった。

 後ろを貫いたまま、今度は膣を貫くための下ごしらえを始めた。自由になった右手は乳房を
つかみ、左手は大きめの肉豆を撫でる。
「ん。あぁ……お前様、そこ……きゃう」
 廃墟と化したねねの心に、再び柔らかな情愛の灯がともる。円を描くように椀型の豊乳を
揉み上げ、軽く乳首をつまんで転がすあたりは、偶然にも秀吉の愛撫にそっくりだった。
皮を剥かれた豆からも、穏やかな快楽の波が生じる。
 もちろん、遠呂智の真意は愛などではない。どうすれば人間の女が悦び、より効率よく
精気を吸えるか。四人の無双の娘たちを相手に、何度も試してきたことを、この新たな贄にも
施しているにすぎない。
 着々と、とどめを刺す準備をする。股間の大蛇のうち一匹がねねの胴を締めつける。
獲物を逃がすまいとする、本能なのだろう。さらにニ匹が両膝に巻きつくと、網に包まれた
脚を持ち上げた。ちょうど赤子が排尿するような体勢を取らせる。大人の女の中心を濡らすのは
小水ではなく、粘り気を増した淫水だが。
 そして最後の一匹が、ねねの目の前で鎌首をもたげ、牙を剥いた。青々と茂った森をかき分け、
尖った鼻先を押し付ける。舌をチロチロと出して入り口を確かめると、一切の遠慮なしに――
穿(うが)つ。
「はぐ――ああ! ち、違うぅっ!? あの人のじゃない、いやああぁ!!」
 慣れ親しんだ夫のモノとはまったく異質の器官に蹂躙され、ねねの自我が甦ってしまった。
生娘のような破瓜の激痛こそないものの、限度を超えた長さと太さに息すら止まる。
 三匹の蛇が身体を縛り、二匹が中まで貫いている。こうなっては、いかな忍法でも脱出の
しようがない。
「あぁ……あん、ダ、ダメだよこんなこと。いい子だからやめて……」
 繋がったまま上下に揺すられる。痛みは薄れつつある。快感には至らぬまでも、身体が
この異常な状況に順応してきた。
――あなたもきっと、お猿な旦那のことなんて忘れちゃうわよ。
 妲己の軽口が、にわかに現実味を帯びてくる。ねねには、それが何より怖かった。

 一方の遠呂智は、濃厚で温かな精気を堪能しながらも、首をかしげていた。
 この女の胎(はら)は、何かが常人と異なる。おそらくは、種族という次元で。
「一つ聞こう。貴様は子を孕んだことがあるか?」
「そ、それは……」
 浮気はしても愛する時は熱烈な秀吉である。一晩に何度も注がれるのに、子宝に恵まれない。
秀吉と他の側室との間には子が生まれている、ということは。
 表にこそ出さないが、この人妻は女として深く思い悩んでいた。
「やはりな。貴様のここは人の子を産めぬ。いや、人を超えた者を孕むためにこそ相応しい。
試してみるか、いずれな」
 あまりに残酷な宣告に、ねねの顔から血の気が引いた。
「いや! それだけは、許して!」
 近い将来、遠呂智の分身に子宮を占領されるのか。想像することさえもおぞましい。
ならば、いっそ。
(ねえ、浮気なお前様。時々はあたしを思い出してよね)
「んぐ……むぐううっ!?」
 察した遠呂智はとっさに自分の指をくわえさせた。指にくっきり歯形が付いたが、
噛み切るには至らない。舌を噛み切って尊厳を保つことすら許されなかった。

「大した心の力だ。早急に消さねばなるまい」
 蛇の口が膣内と腸内で開き、前後の穴におびただしい量の毒液が噴き出す。
「はひいっ」
 その冷たさに、ねねは喉の奥から悲鳴を絞り出す。
 彼女の反応もそこまでだった。膣壁と腸壁から毒が吸収されると、通常の倍の速度で、
ねねの記憶や人格が溶解していく。
(お前様っ! あたし忘れたくない!! 忘れ、たく……あれ……誰?)
 ねねは懸命に秀吉のことを考えようとしたが、脳裏に浮かぶ顔が急速にぼやけていった。
抵抗をやめた身体もまた、大蛇の責めを従順に受け入れ始めた。
 膣内の蛇はさらに頭を突き出し、神聖な子袋へも押し入る。子宮内が直接毒液で満たされる
頃には、ねねは身も心も真っ白になっていた。
 そして、人格と記憶が捏造される。

「こんなに元気。んふ、いい子だね」
 ねねは遠呂智の前にひざまずき、股間の怒張に顔を寄せていた。慈愛に満ちた微笑みは、
秀吉や三成らに向けられたものと少しも変わらない。瞳の奥が、ドブ水のように濁っている
ことを除いては。
「はぅんっ……ザラザラが、気持ちいいよぉ」
 豊かな乳肉を鱗に擦り付け、感触を楽しむ。服は、ろくに身に着けていない。乳も尻も
隠そうとせず、手足のみを網で覆っている。装飾のつもりなのか、太腿の上端からは細い
紐が伸び、腰に巻かれた帯に繋がれている。どう見ても娼婦の格好だった。
「ねねさん、早く力を見せてよ」
 いつの間にか舞い戻っていた妲己が、遠呂智の傍らからじれったそうに口を出す。
「はいはい。それじゃ――ねね忍法、とっておきだよ♪」
 立ち上がり、その場でくるりと半裸の身を翻す。すると、左右に一人ずつ、寸分違わぬ
新たなねねが出現した。
「へえ〜、遠呂智様と同じ術ってわけ?」
 これには妲己も驚いている。
 三人になったねねが、それぞれの豊かな乳肉で大蛇を挟み込んだ。六つの乳房が主の逸物を
柔らかく包む。ただの幻像ではない。確かな感触と量感がすべての乳房に備わっていた。
それが、同時に上下に動き出す。
「あたしに約束してくれたよね」
「いつかお前様の子を授けてくれるって」
「だから、ガンバるんだよ」
「「「んしょ、よいしょっ」」」
「脆いな。人というものは」
 嘲るような、憐れむような遠呂智の声も耳に届かない。ねねは今、幸福に包まれていた。
植えつけられた偽りの幸福に。それを守るため、これより彼女は遠呂智の手駒となる。

ねね編 完

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石田三成×ねね
ねね×くのいち

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Written by◆17P/B1Dqzo