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遠呂智×ガラシャ

 昼間だというのに、空は血のように赤黒い。不毛の大地には、無数の地割れが走っている。そして、禍々しき城壁を有する巨大な城がそびえ立っていた。
 ここは、古志城。一月前、魔王・遠呂智と人間たちとの最終決戦が行われた地である。人の団結の力の前に、魔王は滅び去った、はずだった。

 だが、何者かが遠呂智を蘇らせた。

「無双の女たちを犯し、その力を我が物にせよ……か」
 古志城最深部の玉座に、再び遠呂智が鎮座している。顔料を塗りこめたような真っ青な顔も、魔力を宿す紅と緑の瞳も、異形の鎧に包まれた巨体も、すべてが一月前と変わっていない。
 その魔王に、一人の武将が相対していた。禿頭で長い白髭を生やしているが、鍛え上げられた肉体はとても老人のものとは思えない。何より、目や肌の色はもはや人間のものではなかった。
「清盛。貴様も妲己と同じことを言うのだな」
 この老将、平清盛に叩き起こされたと、遠呂智は考えている。死と再生の連環に再び繋がれたのだから、機嫌もいいはずがない。しかし、人間たちとの再戦を期待する気持ちも彼は持ち合わせていた。清盛は、そこに目を付けた。
「仙界の住人どもを返り討ちにするには、手段は選んでおられませんぞ。すでに、ふさわしき娘も捕らえてまいりました」
 清盛は淡々と答えを返す。さすがに平家の棟梁、その口調は静かだが自信がみなぎっていた。遠呂智を蘇らせた目的は分からないが、よほどの信念あってのことだろう。

 ゆっくりと、重々しく扉が開いた。
 縄をかけられた娘が一人、引き立てられてくる。日本人なのだが、南蛮渡来の装束に身を包み、さながら異国の姫君を思わせる。幼くも気品ある顔立ちには、気丈さが見て取れた。その目は怒りに燃え、怯えは微塵も見られない。
 明智光秀の愛娘・ガラシャが、不幸にも遠呂智軍の虜囚となったのだ。
「では、我輩は邪魔にならぬよう」
 清盛が禿頭を下げ、広間を出て行く。ガラシャは遠呂智の十歩ほど手前まで連れてこられた。護送の兵も立ち去り、二人きりになる。
「お前が魔王・遠呂智じゃな! 答えよ、わらわをどうするつもりじゃ!」
 口から泡を飛ばし、気丈に食ってかかる娘を、遠呂智は無表情のまま見つめる。
「女のなすべきことをしてもらう。それだけだ」
 遠呂智の赤と緑の双眸が邪な輝きを放つ。その妖光を、ガラシャはまともに見てしまった。
「う……あぁ……? わ、わらわは……」
たちまち、目つきがとろんとしてくる。
「なすべき……こと……? 教えよ……わらわに……」
 口ぶりも、たどたどしい。無垢な娘はすでに、遠呂智に意識の半分を握られてしまった。
「よかろう。我に貴様のすべてを見せよ」
「分かった……のじゃ……」
 恐ろしいほど素直にうなずき、ガラシャはまるで風呂にでも入るように服を脱ぎだした。
(なぜ、わらわはこんなことを……まあ、良いか……)
 心の隅でいぶかりながら、手は止まらない。可愛らしい衣が、たちまち床に積み重なった。傷一つない新雪のような肌が、あらわになってくる。
 最後に、ふんわりと膨らんだ股布が、細い足首から抜き取られる。高価な髪飾りも外した。
 ガラシャは、遠呂智の眼前で一糸纏わぬ全裸になった。
 乳も尻も膨らみつつあるが、まだまだ肉付きは薄い。何より、秘め処は無毛で一本の筋が縦に走るのみ、花弁すらはみ出してはいない。
「さあ、これが一切の飾りなきわらわじゃ」
 ガラシャはつるりとした股間すらも隠さず、天使のように微笑む。これから起きる悲劇など考えもせず。
 遠呂智は相変わらず無表情で、玉座にふんぞりかえっている。だが、陵辱の魔手は動き始めていた。

 ガラシャの鼻先に一匹の蛇が這ってくる。
「シャアアアッ」
と鳴いて鎌首をもたげた。
「うわぁ……見たこともない、蛇じゃな……」
 ガラシャは嘆息して、まじまじと蛇の顔を眺めた。
 その蛇には目も鱗もない。しかも、大人の男根の二倍程度の太さに対して、とてつもなく胴が長い。魔王が肉体の一部を蛇へと変化させたものだった。
「それは我が分身、我が象徴。よく知るがいい。五感すべてでな」
「うむ」
 ガラシャは躊躇なく蛇を握りしめた。首をかしげてしばらく眺め回す。その次には、ぎこちない手つきでさすり始めた。まるで少女が騙され、未知なる男根で遊んでいるようにさえ見えてしまう。
「ひんやりしておるのじゃな。それに、すべすべじゃ。舐めてみても良いか?」
「好きにするがいい」
「では、好意に甘えるぞ。ンッ……チュ」
 生殖器そのものの形状をした頭部に、令嬢の穢れなき唇が寄せられた。人生初めての接吻が、蛇に捧げられてしまった。
 砂糖菓子でも舐めるように、チロチロと舌を出してみる。さすがに口にくわえはしないものの、熱心に舌をくねらせ味見する姿は、妙な淫靡さを醸し出していた。
「レロンッ……チュバッ……匂いも味も、特にないのか。でも、何だか胸が苦しくなってくるのじゃ……ああんっ……」
 全裸の少女は好奇心だけで無邪気に蛇と戯れていたが、知らず知らずのうちに心身が高ぶり始めていた。男どころか自慰すら知らない秘め処がジンジンと疼き始め、切なげに真っ白な太腿をすり合わせる。蛇の胴を、柔肌に一生懸命こすり付けてさえいた。
「フ……貴様も女なのだな」
 幼い痴態を視認して、遠呂智の口の端が初めてつりあがる。欲情したのではない。贄として興味が湧いたのだ。
「我も確かめてやろう。貴様に秘められし価値を」
 玉座から、何匹もの蛇がうねうねと這い出す。すべての蛇は、遠呂智の肉体に直結している。
 異形の蛇たちは、ガラシャの裸体をがんじがらめにした。彼女は少しだけ顔をしかめたが、抵抗もせず緊縛されてしまった。
 味見が始まる。一匹は口の中へと突っ込み、清涼な唾液を舐め取った。またある一匹は、陥没していた乳首を舌先で転がす。丘のような乳房の上で、淡い乳首が痛々しいほどに勃起させられた。
 さらには下半身へと伸びた二匹が、より淫らな試食を行う。
 無毛の一本筋へと向かった一匹は舌を閃かせ、処女地の味を調べる。頭の動きがせわしない。生娘特有の、手入れ不足の匂いも嗅いでいるらしい。
 最後の一匹は、尻の方へと伸びた。そこには、赤子のような尻孔がひっそりと息づいている。そこを愛でるべく、蛇は舌をこじ入れた。
 口、乳首、姫割れ、菊門。未知なる快感が、一斉にガラシャへと襲いかかる。
「んっ、んぐうううっ!? んむー……」
 身動きとれず、口をふさがれたまま、ガラシャはくぐもった声をもらした。絶え間なく送り込まれる刺激に、裸身は朱に染まり、ピクンピクンとわななく。
 ついには、姫割れに欲情の体液がにじみ始めた。さえぎるものがない状態で、太腿からふくらはぎへ、かかとへと愛液は伝い落ちていく。
 目尻には涙がたまり、心臓が破裂しそうなほどに高鳴る。筋金入りの箱入り娘は、女への階段を急激に上らされていた。
(あ!? な、何なのじゃ……? あ、ダメ、身体が浮く、どこかに飛んで……はぁああっ!?)
 そして、隠されていた肉芽が一舐めされる。とどめの快電流が、脊髄を突き抜けた。
「んんん! ふぅ、んふぅ――!」
 赤黒い虚空を見上げ、ガラシャは達した。

 ようやく、蛇どもはガラシャを解放した。白い肌に、うっすらと赤いあざが付いてしまっている。
「は――っ、は――っ……今のは……天国が、見えたのじゃ……」
 立っていることすらできず、ガラシャは仰向けに寝転がって喘ぐ。疲労が心地よい。
 だが、悲劇はこれから最高潮を迎える。
「貴様の価値、見極めた。そのすべて、いただくとしよう」
 力なく開かれた脚の間に、ひときわ逞しい大蛇が割って入った。肉芽を一舐めすると、また少女の腰が跳ね上がった。ぴっちり閉じられていた姫割れも、しとどに痴蜜を吐く。
 大蛇の鼻先が、少女の穢れなき秘裂に押し当てられる。その動きから、さすがにガラシャも相手の意図を察した。しかし、思考の半分を握られていて、そこから先に思いが至らない。どれだけ痛いのかなど、微塵も想像していない。
「え……? はい、る……?」
「行くぞ」
 遠呂智自身は身じろぎ一つせず、凶悪な大蛇を前進させた。硬い鼻先が、メリメリと花園をこじ開けていく。
 ほどなく、純潔の扉に行き着く。一突きで、あっけなく破られた。
「くぅあぁああ――っ!?」
 真っ二つに引きちぎるような激痛が、催眠を強制的に解除させた。つぶらな瞳をかっと見開き、ガラシャが悲鳴を搾り出す。
 もちろん、それで加減する魔王でもない。結合部から破瓜の血をにじませつつ、狭い胎内に蛇の胴体を押し込んでいく。太く、激しく、それでいて冷たい大蛇が暴れ、ガラシャの全人格を中から蹂躙する。
「痛い、いたぁいいっ! ち、父上、孫、孫――!」
 ここに来て正気の戻ったガラシャが、のた打ち回りながら父や友の名を叫ぶ。それが、かえって遠呂智の支配欲に火をつけた。結合部から、光が漏れ出す。聖処女の豊潤な生命力が、魔王に吸い上げられていく。遠呂智の全身も、淡い輝きを放ち始めた。
「フ……この、焼けるような生命の力……我が物としてくれよう……」
 ガラシャの膣内で、蛇が口を開いた。喉の奥から子袋に、毒液を流し込む。妊娠こそしないものの、代わりに心身を遠呂智に従順な肉人形へと作り変えていく。
「あっあああ……寒い、冷たいのじゃ……」
 最後に彼女の脳裏をよぎったのは、神への救いだったのか。ともあれ、探究心に輝く瞳がどす黒く濁りきるころには、ガラシャという尊い人格は破壊しつくされ消滅した。

「遠呂智様、此度はわらわを女にしていただき、感謝の念に堪えませぬ。遠呂智様のため、命を張ってご奉仕いたしまする」
 ガラシャ『だった』少女が、虚ろな笑みを浮かべてひざまずき、祈りを捧げる。首からロザリオをかけただけの全裸姿だが、もはや恥じらうそぶりも見せない。全身に蛇の刺青が浮かび上がり、今や立派な遠呂智の婢(はしため)であった。
「魔王に抱かれ、新たな生を授かる。この娘も本望でございましょう」
 清盛が、白々しいことを言って自分でうなずく。遠呂智は思わず、鼻で笑っていた。
「貴様の企みであろう……だがこれで、我は再び戦える。我の戦いを、すべてを終わらせる戦いをな」
 大鎌『焦熱』を手に取り、玉座から腰を上げる。ついに、遠呂智は復活を果たした。人間にとっての試練が、再び始まったのである。

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この物語のヒロインたちは、以下の作品にも出ています
雑賀孫市×ガラシャ

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Written by◆17P/B1Dqzo