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お市×森蘭丸

 時に永禄十年。織田信長はついに美濃を攻略し、二ヶ国を領する大名にのしあがった。その年、一人の少年が信長の小姓として仕えるようになる。森蘭丸。織田家臣・森可成の次男である。
 ほどなくして蘭丸は、小姓たちの中でもとくに知られた存在となっていく。事務官としての有能さ、武将としての素質、そして……男にしておくのがもったいないほどの可愛らしさから。

「お市様、お疲れではありませんか?」
「いえ、大丈夫です。ありがとう、蘭丸」
 振り向いて声をかける蘭丸に、信長の妹・お市は優しい笑みを返した。穏やかな、野に咲く花のような笑顔である。信長同様、お市も蘭丸を信頼していた。
 今日の任務は、いつもの机仕事ではない。所用で出かけるお市の警護であった。
 それにしても、危険な二人といえよう。無駄毛ひとつない生足を陽に晒している。戦国が嫉妬するようなサラサラの髪には、天使の輪がくっきりと浮かび上がっていた。
 二人が人気のない山道に入ったとき。蘭丸は害意を察知した。
 果たして、二人の前後を男たちがふさいだ。
 数は三人。人相も格好も、見るからに卑しい。手に入れたばかりの美濃は、まだ魔王の威光が行き届いていないのだろう。
「下がりなさい。織田の姫君に狼藉を働いて、無事で済むとでも思うのですか!」
 蘭丸が、凛とした声で一喝する。しかし外見でなめられているのは明らかだった。
「おうおう。女のくせに、いっちょまえにお侍の真似ごとか?」
「女は女らしくしてりゃあいいのによぉ」
 賊が取り囲む。女二人と勘違いしたのだ。
「この蘭丸、織田家に仇なす者には容赦しません。お市様、私から離れないで」
 蘭丸は背負っていた刀を抜き放った。
「てええぇやあぁ――っ!!」
 それからの太刀筋に、一片の迷いもなかった。屈強な男たちが文字通り、血しぶきを上げて一刀両断されていく。
 やがて、二人のほかに動くものはなくなった。蘭丸は血振りし、カチリと音を立てて鞘に収める。すぐに深々とお市に一礼した。
「申し訳ございません。このような修羅場をお見せして……」
「かまいません。こんな時のために、兄上はあなたを私に付けてくれたのではないですか」
 あたりは流血の大惨事となったが、お市は取り乱す様子もない。むしろ微笑を浮かべ、怖いくらいに落ち着いている。
(さすがは信長様の妹君だ。これが、上に立つ者のふるまいということか)
 蘭丸は、素直に感心していた。彼女もまた、魔王の血族であることなど思いもよらず。

 結局そのまま、所用を済ませた。帰路に就こうとしたとき、お市が遠慮がちに口を開く。
「さすがに、あんなことがあったから……少しだけ、休ませてもらえますか」
 いきなりの希望にも、嫌な顔をする蘭丸ではない。さっそく、彼女のために街道沿いの宿を当たり、確保する。
 素性は明かさず、旅の者のふりをして二人は宿の二階に上がった。妙に詮索されてはかなわない。こんなときでも蘭丸は、お市のためにお茶を入れたりとかいがいしい。
 そんな小姓の背中を、お市はずっと目で追っていた。よほど喉が渇いているのか、お茶があっという間に飲み干されていく。
 そして、湯呑を置いた彼女は静かに口を開いた。

「時に蘭丸。一つ聞いておきたいことがあります」
「はい、何でしょう」
「あなたは……女を知っていますか」
 蘭丸のつぶらな瞳が点になる。
「はぁ。あの、おっしゃっていることの意味がよく……」
 お市はそれを聞いてクスリと笑った。蘭丸はそういうものから遠ざけられて育てられたのだと確信する。嫡男ではないから、必要に迫られてもいなかったのだろう。
「それでは、後々困ったことになりますよ。あなたは織田家に忠義を尽くさねばならないのですから……こんなときでも」
 いぶかる蘭丸の前で、お市は少し頬を赤らめながら上着を脱ぐ。蘭丸は気でもふれたかと、慌てて止めようとする。
「お、お市様! ここは湯殿ではございませぬ」
「いいのです、これで。賊から主君を守るのと同じくらいに大切なことを、今からあなたに教えます」
 お市の言葉に、蘭丸はうなずくしかない。
「しょ、承知しました」
 お市は、畳の上に横たわった。
「さあ、ここからはあなたが動かなければいけません。私のすべてを、脱がせなさい」
 震える手で、蘭丸をお市を剥いていく。少しずつ、柔肌があらわになっていく。やがて足首から股布まで抜き取る。丸まった小さな布を、蘭丸はつい凝視してしまった。しかし次の瞬間には、お市の裸体を食い入るように見つめていた。
 お市の裸体はどこもかしこも綺麗で、とくに色の白さが際立っていた。頭の芯が痺れてしまうような、いい香りもする。
「まずは、唇と唇を重ねるのです。それが、礼儀というものです」
 命令に忠実に、蘭丸はお市に覆いかぶさって唇を吸う。しかしお互い、それ以上何もしない。蘭丸もお市も不安になってきた。結局、大したこともしないまま、顔を離してしまった。それでも、心臓は早鐘を打っている。
「何だか分かりませんが、幸せな気持ちになります……」
「え、ええ。でもまだ始まったばかり」
 自らの手でお市は乳房を撫でまわす。
「次は、ここです。私がいいと言うまで、舐めたり吸ったりなさい」
 蘭丸はそっと、小ぶりな美乳に口づけた。胸が控えめであることはお市もひそかに気にしていたが、蘭丸はこれが唯一無二の存在であるかのようにすがりつく。
「ん、ふはっ、お市様、こんな感じでよろしいのですか?」
「ああ……そう、そうです。はあっ、こちらの才能もあるようですね」
 必ずしもお世辞ではない。蘭丸の愛撫は丁寧で、将来はたくさん女を泣かせるであろうとお市は予感していた。
 乳首がコリコリに勃起しきる頃、蘭丸を止めて、お市は脚をゆっくりと広げていく。滑らかな太腿の奥に、お市のすべてが息づいていた。
「よくご覧なさい。ここが、女の秘め処。ここにもしっかり奉仕してこそ、女は男を受け入れられるのですよ」
 お市は無毛ではないが茂みはごく薄い。花弁も色素は薄く、よじれや皺も少ない。
「うわぁ……こんな風に……なっているのですね……」
 生々しくも美しいたたずまいに、蘭丸は唾を飲み込んだ。
「さあ、胸と同じように……」
 舐めろということなのだ。股間に顔を突っ込んで。
 命じられるまま、蘭丸はお市の姫割れに鼻先をこじ入れた。忠犬のように、熱心に舌を這わせる。美小姓による性的奉仕……とても人には言えない願望が叶い、お市はたちまち濡らしていた。
「んはぁ、蘭丸……あなたにこういうことをさせてみたいと、前から……あぁ! そ、そこばっかりだなんて、ずるいぃっ」
 お市の反応から弱点を見つけ出し、そこを集中的に責める。
「あ、いやっ!? 自分でするより凄いっ! んはあああっ!!」
 蘭丸の才能は末恐ろしい。陰核をこれでもかというほど舌先で転がしてくる。自分で慰めるよりはるかに、お市は絶頂へと追いつめられていく。にじみ出した露は、蘭丸の顔をベトベトにしていた。
「わ、私、蘭丸の舌で……そ、そんな……はひっ! ダメ、ダメ……! あああ!」
しなやかな裸体が弓なりにのけぞり、硬直する。小姓の顔にさらにしぶきを浴びせて、清楚なはずの姫君は意識を飛ばした。
 再び目を開けると、蘭丸が真顔で心配している。
「だ、大丈夫ですか、お市様」
「はぁはぁ……まさか、こんなに上手だなんて……」
 自分の愛液を飲まされるのも気にせず、お市は先ほどより熱烈に蘭丸の唇を吸った。

「ここから先は、蘭丸も脱ぎなさい」
 着たままでもできるのだろうが、自分だけ裸というのもお市には恥ずかしかった。
 促されるまま、蘭丸は立ち上がり、お市と同じ姿になる。大人の男になる一歩手前の身体。手足には無駄毛ひとつない。それでいて股間には、大人顔負けの立派な物がそびえ立っていた。すでに、お市への愛撫で垂直に近い角度で屹立し、半ば剥けている。恥毛の薄さはいかんともしがたいが。
「まあ。立派な刀は、ここにもあるではないですか」
 興味津々といった手つきで、お市は蘭丸の前にひざまずき、肉刀をくすぐる。
「皮が、このように動くのですね」
「うあっ」
 それだけで、蘭丸は身をよじり、可愛く鳴いた。
「あっ、あう! あ、あの……私は、どうすれば……」
 唇を舐め、お市は蘭丸の前でゆっくりと脚を開く。蘭丸はそれだけで、何をすべきか察した。蘭丸は導かれるようにお市を組み敷いた。肉刀の先端が、今にも押し入りそうに姫割れに擦りつけられる。お市もさすがに、内心恐怖する。
(大きい……こ、これは、受け入れられるのでしょうか……)
「そ、その前に……私のことを、好きですか?」
 蘭丸は迷うことなく、首を縦に振る。
「はい! お市様に巡り合えて蘭は幸せです」
「よかった……」
 義務感だけでなく好意も含まれていると知り、お市は安堵した。これなら、耐えられる。蘭丸の華奢な背中に、そっと腕を回す。
 藤の花が、散った。
「くっ……!」
「こ、これはあぁ! 凄い、凄いですお市様ぁっ」
 お市が顔をしかめ、結合部から赤い筋が流れ落ちたことに、蘭丸は気付かない。ただただ、熱くぬめり締め付ける、初めての女陰に圧倒されていた。
「や、やはり……見るのとするのとでは全然違いますね……」
「え?」
「な、なんでもありません。根元までしっかりと、突き入れるのです」
 兄夫婦の様子を覗き見て、やり方は知っていたつもりだった。だが、生娘が最初から気持ちよくなるのは難しい。
「あ、ああ! お、お市様あぁ」
 それでも時間をかけて、二人は根元までしっかりと繋がった。室内に、二人の荒い息遣いだけが聞こえる。触れ合い、繋がったところから伝わる互いの温もりが、それだけで嬉しい。
 しばらく静かに抱き合っているうち、痛みが薄れていく。お市の身体も、それなりに成熟しているということなのだ。
 ここから男は激しく突き込むところだが……蘭丸は途端に身をよじる。腰を振ることなく、挿入だけで、快楽に耐えられなくなってしまったのだ。それもまた、お市には微笑ましい。
「はぅ、あああ! いけません、しょ、小水がっ」
「ふふ……蘭丸、それは小水などではありません。あなた自身の子種、精……」
 子種。初めて聞いたその単語は、蘭丸にとって危険な響きがした。
「このまま出しなさい。私のことは気にしないで」
 蘭丸の耳たぶを、お市は甘噛み。
「あっ、うはああっ――」
 その刺激に耐えられず、蘭丸の肉刀がビクンビクンと震え出す。本人の知らぬ間に蓄えられていた精が、出口を求めて暴れ狂う。
「お市様ああぁっ」
 切なく鳴いて、蘭丸はすべてを解き放った。
 初めての射精は主君の膣内――後から後から、命が尽きてしまうのではないかと思えるほど放精は長く、激しい。
「駄目……止まらない……ああ、嗚呼……」
「蘭丸……熱い……激しい……」
 その意味の重さを蘭丸が知るのは、もう少し先のことになる。
 ようやく奔流が止まった。力尽きた蘭丸の背中を、お市は優しく撫でる。
「いいですね、蘭丸。主君が求めた時は、このようにその身を捧げるのですよ」
「は……い……」
 蘭丸の心に、新たなる使命感が深く刻み込まれた。

 一方のお市はというと。
 嫁入り先も決まっていないのに操を捧げてしまったことを、戸惑っていた。やはり魔王の妹、賊どもの血と蘭丸の勇姿を見て理性が切れていたのかもしれない。だが、後悔はするまい。
「あなたと二人なら、どんな運命でも」
 その細い手足を、蘭丸にねっとりと絡ませる。決して離さないと、言葉にする代わりに。

 二人の交わりが織田家の未来をどう変えていくのか。それはまた別の物語である。

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Written by◆17P/B1Dqzo