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周瑜×小喬

「おのれ諸葛亮〜」
 この台詞を吐くのは、これでもう何度目になるだろう。周瑜はまたも諸葛亮にしてやられていた。行けども行けども、濃霧の中で気味の悪い石像が並ぶばかり。場所も、時間の感覚さえなくなってきた。
「かくも卑劣な罠で、私を野垂れ死にさせようというのか。だがこの周公瑾、水と食料があれば、何年でも住んでみせる! 貴様の思い通りにはさせん!」
 発言が怪しくなってきた。繊細な周瑜のことである。血を吐き倒れるのも時間と思われた。だが、救いの手は唐突に差し伸べられた。頭上から。
「助けに来たよ、周瑜さま!」
「小喬! 君なのか?」
 幼さの残る声も顔立ちも間違えるはずがない。まぎれもなく彼の幼な妻、小喬であった。その無邪気な笑顔を見ると、安堵で涙が出そうになる。
 ただ、黒が基調のやけに大人びた服装をしている。貧……ほっそりしているから、背伸びしているようで微笑ましい。さらに背中には蝙蝠のような翼が。そして尾てい骨のあたりから尻尾が生えている。何より、宙を飛んでいる。まあ、この世界ではよくあることなのかもしれない。
「あたしが、ここから連れ出したげるね!」
 差し伸べられた小さな手を、周瑜は疑いもせず握っていた。小喬に引っ張りあげられた身体がふわりと宙に浮かぶ。こんな経験は、生まれてこのかた初めてだった。高度はどんどん上がり、石兵八陣がはるか眼下に小さくなっていく。このまま脱出できる、周瑜の胸に希望が芽生えたそのとき。
「お、重いよぉ……」
 大人の男を少女が片手で引っ張り続ければどうなるか。小喬の握力は急速に弱まりだした。腕が小刻みに震えている。
「えーん、ごめんなさーい!!」
 そして限界を超えて手が放される。
「わーっ! 小喬、私を導いてくれ〜」
 幼な妻の詫びる声を上空に聞きながら、再び、周瑜は迷宮へと墜落していった。

「はっ!」
 目を開けると、そこには日常が待っていた。いつもの寝室で、周瑜はいつもの寝台に横たわっていた。
「た、助かった……」
 びっしょりと寝汗をかき、頭痛がひどい。サラサラの長髪も乱れている。どうやら寝る前の一杯が逆効果だったらしい。その隣で小喬が布団にもぐりこみ、心配そうな顔で周瑜を見つめていた。彼女もまた、夢の中とは違って年相応の服を身に着けている。
「大丈夫、周瑜さま? すごくうなされてたよ」
「ああ。夢の中で、君が私を助けてくれたのだ」
 正確には『助けようとした』となるが、夢の中の話なので、細かいことは気にしない。
「ホント? あたしにできることだったら、何だってしてあげるよ!」
「ありがとう、小喬」
「きゃうっ」
 今見た悪い夢を忘れたい。周瑜は恥ずかしいくらいの勢いで、小喬を抱き寄せていた。二人はしばらく無言で、互いの温もりを確かめ合う。それから互いの顔しか目に入らないほどの距離で見つめあう。ごく自然に唇と唇が近づいていき、吸いあう音が聞こえ始めた。

 ふかふかの寝台の上で、小喬は横たえられ、上着を捲りあげられていた。膨らみというより丘と呼ぶにふさわしい胸が、ぺろりと剥き出しにされている。乳頭も陥没気味で、舐めると溶けてしまいそうなくらいに儚げだった。
 そんな小喬の胸を、周瑜はいつもより強く揉み、吸い立てる。たちまちのうちに、白い肌には無数の吸い痕が浮かんだ。
「くうっ! い、痛いよ周瑜さまぁ」
「す、すまない。今の私は、君にすがらずにはいられないのだ」
 そう言って周瑜は再び小喬の胸元に端正な顔をうずめ、甘い匂いを吸い込む。どんな高級な香より、彼女自身の匂いが心を安らげてくれる。
 武勇と知略だけでなく、音楽の才能まで兼ね備え、おまけに容姿端麗。周囲の目は、そんな周瑜を小喬の保護者として見てしまう。しかし、繊細な周瑜が傷ついたとき、精一杯慰めるのはやはり妻の小喬だった。
「んっ……ああ……こんな風に、強めにされるのもいいかもぉ」
 いつものひたすら優しい周瑜とはまた違った一面も、小喬は身体で受け入れつつあった。乳肌に軽く歯を立てられると、上体をのけ反らせて鳴く。
「あは! ふあああっ……素敵だよぉ」
 吸い出されるように陥没乳首を扱われると、何度も何度も首を振った。
 小喬の息が荒くなってきたところで、周瑜は彼女のへそから下に手を忍び込ませた。滑らかな下腹部の感触を楽しみながら、ほとんど無毛の恥丘に指を滑らせる。小喬は一瞬身を固くしたが、すぐに力を抜き、夫に身を委ねる。
 落ち着きを取り戻してきたのか、周瑜は壊れ物を扱うように秘所をまさぐっていく。もちろん、敏感になった上半身への奉仕も忘れない。幼な妻の姫割れは、熱いだけでなくぬめりも出てきた。
「ん? 私の指に、こんなに絡みついて……ふふ」
 耳元で少々意地悪にささやくと、小喬の顔がぱっと朱に染まった。
「だ、だって! あ、あたし、もう気持ちよくなっちゃって……」
 周瑜の秘所への指遣いは、相手の心に寄り添うようだった。決して自分勝手はせず、相手がその先を求めてくるようにする。事実、小喬は自ら周瑜の指に股間を押しつけよがっていた。
「そう言ってくれると、嬉しいな」
「はひいっ!! お、お豆はダメぇ、あふ、弱いのぉっ」
 周瑜は探り当てた肉珠を、指の腹でそっと転がす。そのたびに、まな板の上の小喬は跳ね、躍る。蜜は後から後から周瑜の指を汚し、布団に垂れる。相変わらず初々しい彼女の反応を見ていると、ささくれ立っていた気持ちが穏やかになるのが、周瑜自身でも分かった。
「遠慮しなくていい。思いきり、可愛い声を聞かせてくれ」
「んああ!」
 指を一本だけ、小喬の秘肉の狭間に埋め込む。それが中から少女の弱みを擦り上げ、追い込んでいった。小喬もお尻の穴にきゅっと力を込め、夫の指を締め付ける。まだ陽物も入れられていないというのに、小喬の頭には白いもやがかかりつつあった。声を抑えることなど、できるはずもない。
「しゅ、周瑜さま! あたし、もう、もうっ!」
「さあ」
「やっ、だめ、あっあっあ――んっ!!」
 小さな口をいっぱいに開いて、小喬は甲高くさえずった。その声は、歌舞音曲にうるさい周瑜の耳に、極上の調べとなって届く。
「はふ、はぁ、はぁ……んああ……」
「小喬……いい声だ……」
 その後もひっきりなしに漏れる余韻の吐息を聞いていると、彼の陽物が力強く立ち上がってくるのだった。まるで、彼女に可愛がられるのを待ち望んでいるかのように。

「こ、今夜の周瑜さまのこれ、凄いね……」
 いかに美周郎とはいえ、アレまで人並み外れて美しいわけではない。小喬を弄って高ぶった雄器官は赤黒く、幹には青筋が走っている。
 加えて今の小喬は、もどかしくなった着衣を脱ぎ捨てていた。相変わらず発展途上な肢体は、糸くず一本身に纏ってはいない。愛玩人形のような整った美しさと、あふれる生命力が見事に共存していた。その裸体を見ていると、膨張はますます激しくなる。
「怖くはないか?」
「ぜーんぜん! だってあたしは、周瑜さまの奥様なんだから!」
 明るく答えて、裸の幼な妻は夫の股間へと手を伸ばす。扇を持つのが似合いの手に、雄々しすぎる肉刀が握られた。
「熱い……」
 陶然と呟きながら、小喬は一心不乱にそれを擦り始める。小喬の手のひらは適度にひんやりしていて、柔らかい。そして細い指先が、雁首を絶妙にくすぐる。技巧など拙くとも、それだけでたまらない。
「うっ……さらにできるようになったな、小喬っ」
 この夜の大都督は、幼な妻にかなり熱心に教え込んでいたらしい。小喬も飲み込みが早いというべきか、周瑜を性的に唸らせていた。これが若さか。
「周瑜さま、気持ちいい?」
 上目づかいで、舌足らずな声で言われると、肉棒が勝手にざわつく。体は正直だ。
「あ、ああ。もう君の手だけで吐き出してしまいそうだ」
「よぉし、がんばっちゃうかんね!」
 小喬はますます励む。鈴口からにじみ出る先走りを指先でひとすくい。亀頭全体になじませていく。
「こちょこちょこちょ」
「ぬうっ、ちょ、それはっ」
 袋まで、手のひらで転がした。無邪気に玩具で遊ぶがごとき光景は、犯罪的なまでに情欲を煽る。それだけでもたまらないというのに。
「ん――……ちゅぱっ♪」
 一瞬。ほんの一瞬、小喬は顔を寄せて口づけた。その顔が、周瑜の網膜に強烈に焼き付く。口づけの快感は脳内で幾倍にも増幅され、限界点がすぐに見えてくる。
「く……このたぎるものを、君と分かち合いたい……」
 それはいたずらに外に放つのではなく、妻の最奥に自ら注ぎ込むべきもの。周瑜は小喬の奮闘に感謝を述べると、布団の上で四つん這いになるよう頼んだ。
「えっ……それって……うん」
 小喬は大いに恥ずかしがりながら、言われるままの姿勢をとる。その背中には悪魔の羽も、尻には尻尾も生えてはいなかったが、周瑜は夢の中の彼女をまざまざと思い出していた。
 肉づき薄い尻を優しくつかみ、肉刀の切っ先を姫割れにあてがう。そこから少し腰を進めるだけで、熱く、狭く、柔らかなぬかるみへと周瑜は己を埋めた。
「ああ、小喬……」
 石兵八陣よりはるかに複雑な肉襞の迷宮は、しかしいつまでも浸っていたくなる。
「あぁん、周瑜さま、周瑜さまぁ! ぎゅっと抱きしめてね、お願い」
 繋がっていたいのは小喬も同じだった。周瑜がゆっくりと腰を前後させるたび、幼さの残る肉襞は擦られ、快楽の炎が胎内を焦がす。
「ふああ、あひい! ああ飛んじゃうっ、あたし飛んでっちゃう」
「な、ならば私は、逃がさないようにしよう」
 小柄な小喬を抱え込むようにして、周瑜は彼女を後ろから攻め立てる。品よく飾り付けられた二人の寝室に、本能のまま肉を打つ音が響き渡る。
「や、やっぱダメ、周瑜さま、あたし先に、アッ、アア――――ッ!」
 先に白旗を上げたのは小喬だった。全身をビクンビクンとわななかせ、膣壁をこれ以上ないほど収縮させる。
「私を置いていかないでくれ、我が妻よ……ううっ!」
 折れそうになるほど小喬をかき抱き、周瑜は小さな子袋にありったけの情熱を注ぎ込んだ――

 ことを終え、二人は裸のまま、一つの布にくるまっていた。互いの温もりがあれば、明日がどんなに辛くても乗り越えていける。そんな気持ちになる。
「あたしには難しいことは分からないけど、最後に勝つのは周瑜さまだって信じてる」
「小喬……」
 多分、寝言で『おのれ諸葛亮』と、わめいていたのだろう。周瑜は自分の醜態が恥ずかしかった。
「だから、一度や二度痛い目に遭ったからって、くよくよしないで。そんなの、周瑜さまらしくないよ」
 やはり自分にとっては最高の妻だと、周瑜はあらためて思った。
「そうだな。そのとおりだ。諸葛亮、何するものぞ!」
 大都督は傍らに幼な妻を抱き寄せて、高らかに宣言した。

 数日後。精力的に軍議に臨む周瑜のもとに、自宅からの使者が慌てて駆け込んできた。
「小喬様が、突然倒れました!」
「何だと!?」
 諸将のすすめもあり、周瑜はとるものもとりあえず自宅へ飛んで戻った。確かに、小喬が床にふせっている。
「具合は、具合はどうなんだ」
 小喬が、弱々しく口を開く。
「うぅ、諸葛亮って人の奥さんが、とっても頭いいって聞いたから……」
 急に周瑜の書斎で難しい本を読んだがため、知恵熱であった。しかし周瑜のはらわたは煮えくり返る。
(これも、奴が間者を放って言いふらしたからに違いない……おのれ諸葛亮!)
 その推測はどうかと思う。ともあれ、周瑜の苦闘はまだまだ終わりそうにない。

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Written by◆17P/B1Dqzo