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真田と徳川。
やがて相争う宿命にあったはずの両家は、遠呂智の生んだ異世界で手を取り合うことになる。
そもそものきっかけは、蜀と呉の共闘が成立したことだった。これにより蜀陣営にいた真田幸村と、孫呉に協力していた稲姫は、偶然にも友軍として再会したのだ。
最初は元の世界での因縁もあり、二人の間はぎくしゃくしていた。しかしいくつかの危機を乗り越えるうち、幸村の槍と稲の弓は、自然と助け合うようになっていく。
そしてついに――二人の絆の前に魔王は倒れた。
「ふう……皆、羽目を外しすぎだ」
ほうっとため息をつきながら、浴衣姿の幸村が宴会場を抜け出す。頬のあたりが少し赤らんでいる。
平和が戻ったとなれば、祝いたくなるのが人の常。有志の呼びかけで、とある温泉地にて祝勝の宴が張られた。幸村も趙雲に誘われて、参加したのだが。
「少し、夜風に当たろう」
誰とは言わないが酒豪や酒乱が勢揃いし、旅館の宴会場は飲めや歌えのどんちゃん騒ぎが繰り広げられていた。月でも見ながら和やかに、などと考えていた幸村には、とてもついていけない状態と化している。
静かな場所を求めるうち、幸村は庭に出ていた。この混沌の世界でも、日本庭園はそのままに残されている。
「おや……あれは?」
こんな夜中なのに、庭には先客がいた。
視線の先には、自分と同じく浴衣姿の、つまりは戦国の世から来た女性が月を見上げてたたずんでいた。漆を流したような見事な黒髪を、腰の辺りまで伸ばしている。一切の歪みや偏りなき美しい立ち姿は、育ちのよさをうかがわせた。
誰何するより前に、気配を感じて女性が振り向く。
二人とも同時に、「あっ」と声を上げていた。
「稲殿、なぜこのようなところに」
「幸村様こそ、どうなさったのですか」
理由を打ち明けると、稲は何度もうなずいた。やはり、稲も場の雰囲気についていけなくなったらしい。尚香がいてくれれば、少しはましだったのだろうが。
かくして、宴会の苦手な二人は、縁側に腰かけて和やかに語り合う。以前に比べればずいぶんと打ち解けて、たわいない話もできるようなった。
しかしそのうち、話題はどうしても真田と徳川の因縁に行き着いてしまった。遠呂智の脅威が除かれた今、再び両家がにらみあうのかと思うと気も重くなる。
「私たちにできることはないのでしょうか」
腕組みしながら、幸村がつぶやいた。すると。
「……ございます」
そう言って、稲はそっと幸村の腕を取った。浴衣越しの柔らかな感触に、幸村の胸も思わず高鳴る。そして稲は、消え入りそうな声で続ける。
「私と幸村様の間に、決して離れることのない絆を作れば……」
「そ、それはっ!」
それがどういう意味か、いくら幸村でも分かる。
嬉しくないと言ったら嘘になる。幸村にとって稲は、武士としても女性としても素晴らしい存在だと思っていた。しかし、相手は本多忠勝の娘にして徳川家康の養女である。一方の自分は小大名家の次男。軽はずみなことをしていい相手ではない。
「稲殿。そんな思いつきで大事な身を」
「違いますっ!」
今度は幸村の耳がキーンとするくらいの大声を、稲はあげていた。
「共に戦い抜いた幸村様のほかに、この身を捧げる相手など思いつきません。そのためなら、父上だろうと殿だろうと説き伏せてみせます!」
一言一言に込められた決意が、幸村にはひしひしと伝わる。同時に、先に本心を言い出せなかった自分がとても情けなく思えた。
自分よりはるかに小柄な稲を、ひしと抱きしめる。
「本当は、忠勝殿と、兄上とさえ一戦交えてでもあなたがほしい」
稲はただ、目を閉じ無言で幸村にすがりついていた。
それからしばらくたった。いい加減宴もお開きとなり、皆が寝静まった。だが、幸村と稲の宴は今から始まる。
旅館自慢の岩風呂に、一組の男女がつかっている。もちろん、何も身に着けず、生まれたままの姿で。身を清めてからということらしいが、二人とも初めてなのに大胆というべきか。
肩を寄せて黙りこくっていた幸村と稲だが、やがて見つめあうと、ぎこちなく唇を重ねる。
「ん……チュウウッ……」
「んふっ、はふう」
何しろ槍一筋、弓一筋に生きてきたから勝手が分からない。その類の本も読んだことがなかった。ただ、唇が綺麗に思えたから重ねてみた。
それがとても心地よくて、息の続く限り唇をすり合わせる。互いの指を絡め、しっかりと握りながら。やがて手を握っていた二人は互いの背中に腕を回し、ひしと抱擁を交わす。
硬く逞しい幸村の胸板と、柔らかく美しい稲の乳房が押し付けあう。先端が触れ合うと、そこからむずがゆいような感覚が走った。早くも、のぼせそうになる。
(稲殿の、胸……美しい)
先に我慢できなくなったのは幸村だった。片手を魅惑の半球に添え、軽く力を入れる。若さ溢れる乳房は、驚くほどの弾力を持って幸村の指を押し返した。
「ん、はあ、幸村様ぁ、ダメ……」
それを繰り返すと、稲が切なげに喘ぐ。吐息はますます熱くなり、滑らかな乳肌の中央が、硬くなって盛り上がった。それらすべてが強烈に、男の本能を刺激した。半ば勃起しつつあった肉槍が、湯の中で垂直に立ち上がる。竿には青筋が走り、鈴口からは先走りの汁がにじんでくる。
ふと、稲の白魚のごとき指先が、それをかすめた。
「うっ……」
かすかな刺激さえ、腰の奥まで強烈に響く。幸村は思わずうめいていた。
「あ……い、痛くしてしまいましたか、幸村様っ」
「いや、痛くはないのですが……」
勘違いした稲が、心配そうに見つめる。男として、何とも答えにくい。そんな曖昧な態度が、ますます稲の不審を募らせた。じかに、真下を見る。
視界に飛び込んできた逸物に、稲は言葉を失った。酸欠の金魚のように、ただただ口をパクパクさせている。
「こここ、こんなものを常にしまっておられるのですか!?」
「そんなはずが! 稲殿が……綺麗だから……自然とこうなるのです」
今までの稲なら、「不潔」「不埒」と盛大な悲鳴を上げていただろう。しかし、添い遂げる相手の持ち物であることが、彼女を踏みとどまらせた。
「よく、確かめさせてくださいませ。私と幸村様を繋ぐ大切なものでしょう?」
微笑む稲は今、女として前に踏み出した。
幸村を湯船の縁に座らせると、稲は湯に浸かったまま未来の夫の股間に顔を寄せた。耳まで真っ赤になりながら、視線は決して外そうとしない。
「たくましい……お腹も引き締まっておられて……素敵です……」
真剣そのものの表情でも、声には恍惚としたものがまじっている。
手がすでに、青筋ばしった幹へと伸びていた。指を曲げ、つかむ。
(つかんでいる! あのお堅い稲殿が、世界でただ一人私のものだけを嫌がることなく……)
女人に触られたという事実だけで、生真面目な幸村さえ天にも昇る心地になる。それと同時に、経験のない肉槍は早くもヒクついていた。
そこに、健気な弓姫が無邪気に追い討ちをかける。
「つ、妻として……幸村様のすべて、確かめさせていただきますっ」
手触りを確かめようと、ゆっくりと上下に手を滑らせた。
「くっ、はあぁっ! い、稲殿っ」
幸村もまた、もやもやしたものは稽古で発散させることが多かった。あまり慰めたこともない牡器官が、彼にとっては強烈に心地よい洗礼を受ける。
「やはり硬い、それに熱うございますね。先端と胴では、色も異なる……あぁ、興味深いものです……」
(それに、幸村様が気持ち良さそう。私が、触っているから?)
太い眉の根を寄せてうめく幸村を見るにつけ、女としての矜持がくすぐられた。もっと触れば、もっと自分を求めてくれるのだろうか。いつしか、稲は両手を使って愛していた。
「はおおっ! まずい、稲……殿……出っ」
そこまでされたら、幸村もいよいよ追い詰められていく。すでに先走りの樹液は、未来の妻の手を汚していた。続いて玉袋に蓄えられたものが、外界目指して駆け上る準備を始める。
しかし、射精の瞬間を間近で見られるというのは、恥ずかしいにも程がある。どうにか危険を告げようとして下を見ると……
「この露は……? 幸村様のお身体から……?」
稲が、我慢汁を舐めようとしていた。
(わ、私のを、稲殿があっ)
湯に濡れた白い裸体、ちろりと出た可愛い舌先。その映像が、一気に男の限界を突破させる。
「うおああっ! 稲殿、すまないっ!」
準備万端だった白い奔流は、一気に輸精管から竿の中を突き抜け――盛大に噴き出した。何の用意もしていなかった、初心な生娘の顔面へ、黒髪へと。
「きゃ――きゃあああっ!?」
さすがに今度は、稲も悲鳴をあげた。生温かく青臭い粘液が、びゅるびゅると降りかかる。十数秒の放出が止まるころには、稲も半ば放心状態だった。
「……もしかして、今のが子種……」
「はぁはぁ……ええ、まあ……」
絶頂の快感と稲を汚した罪悪感でいっぱいになりながら、幸村は間抜けな返事をするのが精一杯だった。日本一の兵が、肩で激しく息をしている。しかし肉槍の膨張は衰えず、彼の秘めたる力をうかがわせた。それが芽を出すには、幾たびかの場数を踏まねばならないだろうが。
ようやく顔中にかけられた精液を洗い流すと、稲は馬鹿丁寧に頭を下げた。
「幸村様のすべて、しかと拝見いたしました」
そして、急に口ごもる。
「お、お望みなら……次は、稲のすべてを……ご覧ください」
自分の言葉に反応し、稲の肉体はきゅうんと疼いた。
消えたくなるほど恥ずかしい。しかし、幸村とは常に対等でありたい。その気概だけで、稲は洗い場に仰向けに横たわっていた。今の幸村は、彼女のありのままの肉体を、その目に収めることができる。半球形を保ったままの乳房も、小さな縦長のへそも、伸びやかで無駄毛一つない手足も。
しかし幸村の視線は一点に集中していた。
(女人の股には、このように毛が生い茂っているものなのか)
初めて見る、女の茂み。稲のそれはかなり立派に生えていて、しかも生まれてこのかた伸びるに任せている。しかし、毛の縮れが少なく、汚らしい印象は与えない。むしろ、彼女の純朴さを引き立てている。その原生林の奥に、淫らな唇が息づいているのだ。
(ああ、見られてる……自分でも、見たことなどないのに……)
稲は両手で顔を覆ってしまう。できれば、早くすませてほしかった。
しかし、当の幸村は稲の秘密にすっかり心奪われてしまったらしい。縦に入った亀裂をを指でくつろげる。十数年間無垢なままだった内部粘膜が、とうとう顔をのぞかせた。
桃か桜かと見まがうばかりに、色もつやも初々しい。豆は、かなり大きい。誰にも明かしてはいないが、大きめの淫豆は彼女自身がよく弄って、切ない快楽を得ていた。
(こんなに繊細な所に、私の物が入るのだろうか。入れていいのだろうか)
男根への奉仕によって稲自身もかなり興奮はしていたが、それでも濡れ方はまだまだ足りない。指の一本さえきつそうに見える。勇敢だが猪武者ではない幸村は、稲を傷つけたくなかった。
(ならば、せめて口づけだけでも)
顔を近づけると、稲自身の匂いが漂う。それさえも呼び水となり、幸村はためらうことなく口をつけた。何をされても耐えようと思っていた稲も、これには驚く。
「ゆ、幸村様!? そんな、舐めるだなんて、は、恥ずかし、あふうっ! な、何これぇっ」
驚きはすぐに、快感への驚きに変わった。指よりさらに柔らかくざらつくものが、自分の『お雛様』を撫で上げている。特に豆が舌先に包まれ、吸い上げられると、気が遠くなるくらい気持ちいい。自分では、決して得られない悦びだった。陰唇の表面ににじんだ露は、その下の菊門まで濡らしていく。
「アッ、ハアァッ! 私、お雛様舐められて、もうどうにかっ」
息は苦しく、視界が涙でにじむ。硬い床の上で裸身をよじりながら、稲は確実に、自慰とは異質の絶頂へと登りつめていく。技巧より何より、幸村相手だということが嬉しい。
幸村も舌がつりそうになりながら、顔を愛液まみれにして舐め続ける。
「ア、果てる、幸村様、幸村様あぁっ! 見て、稲の果てるところをっ! ア――ッ!!」
両手をきゅっと握り、足指をピンと突っ張り、稲は弓なりにのけぞった。鍛えられた太腿で幸村の顔をがっちりと挟み込み、しとどに体液を浴びせる。それはもう、粗相したのかと誤解されるほど。
「はひっ、はぁっ、はあっ……ダメ、ダメぇ」
(稲殿……何と淫靡にして美しい……)
余韻に打ち震える稲を見ていると、幸村はこの場で想いを遂げたくなった。しかし、と思い直す。
(私たちは行きずりではない、夫婦となるのだ)
「落ち着いたら……寝所へ参りましょう。床入れの儀、しかるべき場所で」
耳元で囁く幸村に、稲はコクリとうなずいた。
続く
この物語のヒロインたちは、以下の作品にも出ています
直江兼続×稲姫
稲姫×ァ千代
孫尚香×稲姫
弓姫二人
遠呂智の淫謀 稲姫編
Written by◆17P/B1Dqzo