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遠呂智の淫謀 決戦前夜

 古志城から逃げ出した呂布は、人知れぬ山奥に庵を結んだ。そして貂蝉を取り戻すため、
珍しくも鍛錬に明け暮れていた。
「ぬおお! まだまだぁ!」
 全身が汗まみれになるほど、方天画戟で素振りを繰り返している。表情には鬼気迫るものがある。
「くすぶっておるようだね、呂奉先よ」
 声がした方を振り向くと、白髪の老人が立っていた。右目の周囲に描かれた渦巻き模様が
目を引く。
「いきなり何だ、うさんくさいじじいめ。腕をもいで竹箒代わりにしてやろうか」
 呂布は誤解しているが、豪快に逆立ったそれは髪の毛ではなく、藤の蔓を固めた帽子である。
「この方は左慈殿。劉備殿をお救いするため、ひとかたならぬご助力をいただいております」
 横からまた意外な顔が出てきた。蜀の軍師・諸葛亮が、羽扇を手に恭しく一礼する。
「お聞きしたいことがあるのです。あなたが古志城で、その目でご覧になったことを」
「フン。話してなんの役に立つ」
「策を練ることができます。遠呂智を討ち、貂蝉殿を救うためにも」
『貂蝉を救う』それは殺し文句だった。しばらくして、呂布は苦々しく語りだした。
自分にとって唯一の女が目の前で犯され、自我を奪われ、遠呂智に奉仕していた光景を。
 左慈も諸葛亮もじっと耳を傾けていた。時折、うなずきながら。

 ややあって、左慈は静かに口を開く。
「なるほど。時に、房中術、というものは知っておるかね」
「何だ、それは?」
「男女が交わることによって陰陽の気を渾然一体となし、長寿を得る。ただ交わればいい
というものでもない。行為の最中に男は精を漏らしてはならぬし、女が十分に高ぶった
状態で交わる必要もある。小生も、いささかの心得はある。好き好んでは、せぬがね」
 何でもそうだが、左慈が言うと高尚に、かつ信憑性を持って聞こえる。
「おそらく遠呂智は――毒液で女たちの心身を無理やりに高ぶらせ、精を吐くことのない
陽物で貫いているのであろう。そして自我を奪い、肉人形として手元に置いている」
 さすがにその道の達人は、事の真相を正しく分析している。諸葛亮が後を続けた。
「房中術を極めれば、人は仙人になれるといいます。人が仙人になれるのですから、
魔王が術を極めれば……」
 そこまで説明すれば、いくら呂布でも察しはつく。
「神にでもなれると? そんな下らんことのために、遠呂智は俺の貂蝉を!」
「左様。おそらくは、妲己の入れ知恵でしょう。遠呂智の力が前にも増しているおそれは大、
お一人で勝ち目はありますまい。呂布殿、ここは我々と連係を」
 見る見る、呂布の額に青筋が浮かんだ。
「知ったことかぁ! 奴がどれほど強くなろうと、俺はこの手で貂蝉を取り戻す!」
 勝手に話を切り上げ、呂布は大股で去ってしまった。残された二人は顔を見合わせ、
肩をすくめた。
「追わぬのかね」
「これでいいのです。彼が今すぐ、それも単独で動いてくれるのですから」
 もとより、手を組むつもりはなかった。そのほうが危ない。
「私は、蜀軍の指揮に戻ります。左慈殿は?」
「ふむ。もう一人、会って話をしておこうと思う。小生の読みが正しければ、その者の娘が
遠呂智に狙われるは必定。ではまた会おう、大徳と……奥方を救われよ」
「はい。命に代えても」
 二人は振り返ることなく、それぞれの歩みを始めた。

 孫家が再び結集し、遠呂智の居城もつかんだ。孫呉にとって、あとは決戦あるのみ。
 出陣前夜、稲姫と孫尚香は湯殿で身を清めていた。
 小さいながらも檜の香り豊かな湯殿の中で、椅子に腰かけ、湯をかけあっている。
二人の張りのある肌が、さかんに水気を弾く。
「ん……あ、あん!」
 先ほどから稲がおかしな声を出すので、尚香は苦笑していた。
「ふふ、どうしたの? くすぐったい?」
 背後から稲の乳房を手のひらに収め、指を滑らせて丁寧に磨き上げる。尚香としては、
『親友同士の裸の付き合い』程度の認識しかない。稲が悶えるのはくすぐったいからだと、
本気で思っている。
 稲は違った。彼女は今、大いに戸惑っていた。
 尚香に胸を撫でられると、気持ちいい。自分で慰めるより、ずっと。
 友の親切を卑猥な指遊びと同様に考えるなど、あってはならない。でも、乳房から生じた
痺れるような快感は、否定しようがない。
「へえ、稲のお腹ってずいぶん細いのね。羨ましいな」
 稲の葛藤に気づくはずもなく、尚香は前に回した手を下へと滑らせていく。ひらべったい
脇腹を撫で回し、さらに下腹部へ。指先に柔らかな毛先が触れた。稲の草むらが、自分と
同じく濃いめに生え揃っているということは、すでに知っていた。
 一度出陣すれば、こんなにゆっくりと湯を使う暇などない。たっぷりと手櫛を通してあげたい。

「さ、脚を開いて。しっかり洗ってあげる」
 ごく軽い気持ちで、尚香は稲の耳元にささやいた。
(あ、脚を開いて……洗う……!)
 その言葉だけで、稲の下腹の奥底が、きゅうんと疼いた。自分の抱いている感情が友情
以上のものだと、身体に教えられている。
 もう、我慢できそうになかった。このまま尚香に身を任せ、秘め処を触ってもらいたい。
自分の劣情は気付かれぬようにしながら。
 耳の奥で、鼓動の音がゴウンゴウンと、うるさいくらいに鳴り響く。
「う、うん。尚香、お、お願い」
 かすれた声で、ようやくそれだけ口にした。
「了解。それじゃ……ん?」
 何か、柔らかくて長い物が尚香の手に当たった。心当たりがない。さすってみると、
たちまち硬さと太さを増した。
「ええっ!? 稲、何よこれ……」
「何って……?」
 わけが分からない。二人して、前を覗き込む。稲の目の前で、相当な美男子が仰向けに
倒れていた。全裸で。言うまでもなく、尚香は彼の立派な肉槍をしごいていた。
「き……き……」
「きゃああああ――ッ!」
 湯殿に、乙女二人の悲鳴がこだました。

 平常心を失った稲と尚香に袋叩きにされたにもかかわらず、倒れていた青年――
浅井長政は身なりを整えると丁重に礼を述べた。そして、古志城での夫婦陵辱を、なるべく
婉曲な表現で語って聞かせた。長政から搾り取った妲己が、適当に時間と空間を超えさせたため、
湯殿での一件が生じたらしい。
 話を聞き終える頃には、二人とも真っ赤になっていた。怒りと、未経験の行為への恥ずかしさで。
「あの、可愛らしいお市様が……! 女の敵、稲が成敗いたします!」
「きっと、大喬義姉様たちも、そこに……遠呂智も妲己も、絶対に許さないんだから!」
お市を奪還するために同行するという長政の申し出を快諾し、二人は打倒遠呂智の決意を
新たにした。

 その頃、古志城最深部では。

「災難だったな、妲己よ」
 蜀軍に捕らわれ、古志城の場所を吐かされた妲己が戻ってきていた。諸葛亮にたばかられた
にしては、案外ケロリとしている。
「これも敵を一網打尽にする策のうち、ってね。月英さん、準備はできてる?」
 月英が、深く頭を垂れる。裸体に、薄い前掛けだけを身につけていた。布地越しに、
硬くしこった乳頭や薄めの草むらまで透けて見える。発育豊かで色白な乳や尻の肉は、
前掛けの横から大きくはみ出していた。
 本来の人格を失っているからこそ、才女で知られる彼女はこんな格好を平気でしていた。
「はっ……あと二人、無双の力を持つ女を得れば、我が発明は完成いたします」
 遠呂智の周囲では、無双の力を持った十二人の女たちが、半透明の蛇たちと戯れていた。
一糸まとわぬ肉体に蛇たちを絡みつかせ、穴という穴に招き入れている。月英を含めて十三
人、
皆、瞳から理性の輝きが失せている。様々な手段で遠呂智に捕らわれ、犯され、好き勝手に
人格を作り変えられていた。
 女たちの胎内から淡い光が生じ、蛇たちの胴体を流れている。汲めども尽きぬ女たちの
精気は蛇を通じて城の各部に運ばれ、橋や扉や兵器を動かしている。これも、月英の発明だった。
「では私も、遠呂智様のお力に……んはああっ、素敵ぃっ」
 月英も蛇たちに前掛けを剥ぎ取られた。均整の取れた裸体にすぐに蛇たちが集まり、侵入する。
前戯もされていないのに、女陰は早くも痴蜜を蛇に浴びせていた。菊門も、蛇を押し潰さん
ばかりに収縮する。

 遠呂智はしばらく月英たちの痴態を眺めていたが、急に空を見上げた。何かに気付いたように。
「ム……近づいているぞ。新たな世界を創り出す、最後の鍵が。最強の武人の血を引く娘がな」
「最強の武人……ああ、本多の娘さん? 孫尚香さんにずいぶん友情感じてるみたいよね。
じゃあ、それを上手く使いましょうか。楽しみだな、あはは、あはははは!」
 妲己の哄笑が、淫虐の神殿に響き渡った。

決戦前夜 完

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この物語のヒロインたちは、以下の作品にも出ています
孫尚香×稲姫
直江兼続×稲姫
真田幸村×孫尚香

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Written by◆17P/B1Dqzo