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劉備×孫尚香

 初めての接吻は、さっき食べた桃の味がした。その味も、頭がぼうっとして、すぐに分からなくなる。

 孫尚香は瑞々しい唇を、運命の人に捧げていた。間近に見る彼の顔は、思った以上に整っていた。
 唇を重ねるだけだと思っていたら、歯列を舐められ、舌で舌を絡め取られてしまった。別の生き物のような動きが、にわかには信じられない。唇をついばまれる音が、二人きりの寝室に響く。
(うわあ、上手……初めてじゃ、ないんだ)
 相手が自分よりはるかに大人の男であることに、尚香は今更ながら気づく。この先、自分はどうされてしまうのかと考えるだけで、身体の芯がかっと火照ってくる。

 男の方も、実のところ平静ではない。接吻に慣れているのは過去に妻を持っていたからで、女たらしとは対極にあるような人物だった。
(尚香殿は、後悔しないのだろうか。私と結ばれることを)
 劉備、字は玄徳。孫権とともに、赤壁の戦いで曹操を食い止めたこの男は、ようやく飛躍の時を迎えようとしていた。荊州から益州へ進軍し、天下を三分する。孫権の妹・孫尚香が馬にまたがり駆け込んできたのは、その準備を始めようとしていた矢先のことだった。
 もちろん事前に縁談がまとまっていたとはいえ、尚香がこれほどまでに乗り気だとは思わなかった。孫権と喧嘩でもしたのかと、余計な心配までしてしまう。

 しかし、間違いなく二人は夫婦になった。劉備軍の台所事情を反映してささやかな祝宴が張られ、諸将の挨拶を受け、それが終わった今、なすべきことをするのみとなっていた。尚香はもちろん、劉備もまだ若い。互いに好感を持つ二人が、形だけの夫婦で済ませられるはずもなかった。

 唇を合わせたまま、寝台に倒れ込む。布団もまた、劉備軍のものは薄い。そんなことは、互いの温もりの前ではどうでもいいことなのだが。
「こうして見ると、尚香殿はやはり美しいな。私には、もったいないくらいだ」
「え……やだ、そんなこと言わないで……」
 真っ赤になって照れながらも、女として悪い気はしない。劉備の手を取って、肩に触らせる。
『脱がせて』
という、精いっぱいの意思表示だった。
 劉備は一つうなずくと、包みをほどくように丁寧に手をかけていく。花びらをむしるように、布団の周囲に絢爛な衣装が散っていった。尚香自身の健康的な美しさが、ますます際立ってくる。
「あ……」
 いよいよ、胸と腰の覆いを残すのみとなる。尚香はさすがに息をのみ、身体をこわばらせた。
 まずは胸から、ゆっくりとたくし上げられる。その下からあらわになる美豊乳は、男の手など触れたことがない。大きさに比べて乳頭は淡く小さく、舐めると溶けそうだった。
「綺麗だ……」
 たまらず、劉備はその双球に両手を添えていた。絹もかくやと思われる極上の触り心地は、一度知るともう止まらない。少し力を込めると、指は柔らかく沈み込み、それからしっかりと押し返す。素晴らしい発育ぶりだった。
 乳頭を、指の腹で軽く転がす。心地よい刺激に反応して勃ち上がってくる初々しい桜桃を、劉備は待ちわびたように口に含んだ。
「あ、げ、玄徳様っ! そんなに、がっつかないでえ」
 レロレロレロレロ……と、舌の動きが直に伝わってくる。人さし指を軽く噛みながら、尚香は悶える。大人の男が自分の胸に吸いつくさまは、とてつもなく淫靡に思えた。
 左胸、右胸、また左……尚香の果実は、瞬く間に劉備の唾液にまみれた。その頃にはもう、股布の下もしっとりと湿り気を帯びていた。

 太腿を擦り合わせるしぐさを見て、劉備はさりげなく股布に手を伸ばした。胸への愛撫に気を取られていた尚香が気付いた時には、膝のところまで剥き下ろされていた。今さら拒むつもりはない。劉備に見せなくて、他の誰に見せるというのか。
(どうしよう……自分でも見たことないところ、玄徳様に見られちゃう……)
 構造は察しがついても、外見が今ひとつよく分からない。もし、見られて引かれるようなものだったら。心臓が早鐘のように鳴り響く。

 だが、それは杞憂というものだった。力なく開かれた脚の間を、劉備は食い入るように見つめている。
 尚香の中心は、年相応に成長した花弁に彩られていた。その縁に指を添えて、劉備は左右に優しく開く。さらに鮮やかな果肉が、幾重にも重なっていた。
 新妻を安心させるように微笑んでから、劉備はそっと顔を花園に近づけた。尚香は股間に、ざらつきぬめる舌を感じ取った。それが、先ほどの接吻と同じように情熱的に這いまわる。
「そ、そこはっ! あ、はあぁっ! 舐める、なんてぇ」
 劉備は床上手というわけではない。だが、与えられる刺激のすべてが、尚香にとっては強烈だった。いつしか、さらなる愛撫を求めて秘唇を劉備の顔に押し付けていた。劉備もその求めに応え、舌がつりそうになるほど果肉をついばむ。とりわけ、上の方でぷっくりした肉芽を舌先で可愛がる。とても小さな器官だというのに、思わず震えるほどの快感が背筋を駆け抜けていった。
「ぷはっ……尚香殿、気に入ってくれたか」
 劉備が顔を上げると、口の周りが露にまみれていた。その蜜はすべて、尚香が劉備の行為に感じて吐き出したものだった。
「凄く恥ずかしい……で、でも、もっと続けて、玄徳様ぁ。そうしたら、私、あふううっ」
 再び、尚香がはしたなく嬌声を上げた。彼女を絶頂に導いてやりたくて、劉備は一心不乱に舌を使う。滲みだす愛液は会陰を伝い、安物の布団をびしょびしょに濡らしていた。
「はひっ、凄いいっ! 玄徳様に舐めさせて、私目の前が真っ白に、真っ白にいっ」
 布団に大きな皺を作りながら、尚香は至福への階段を駆け上る。夫に股を舐められながら、自分では汗の玉が浮かんだ乳を揉む。健気でありながらも淫靡極まりない、新妻の痴態であった。
 そして、肉芽が愛おしげに吸い上げられる。尚香の脳内で、光が弾けた。
「ん! 何か来る、何かがああ! はううぅうんんっ!!」
 はしたなくも夫の頭をがっちりと脚で押さえつけ、尚香は妻として最初の絶頂に達した。

「す、すまない。刺激が強すぎたか」
 ぐったりと横たわる尚香の顔を、劉備が心配そうにのぞき込んでいる。
「ううん……あのね。今度は玄徳様を気持ちよくさせたいの。だって私たち、夫婦なんだから」
 経験はなくとも、尚香は自分がしてもらった口唇愛撫をしてあげたいと切望するのだった。

 だが。
(だ、誰よ。『玄徳様、意外と小さいんじゃないですか?』とか言ってたのは〜)
 尚香は心の中で、噂好きな侍女に責任を転嫁していた。
 初めて間近に見る男性自身の形状は、尚香の想像のはるか上を行っていた。先端が茸のように張り出し、幹の部分には青筋が走っている。先端の鈴口からは、得体のしれない液がとろりと垂れていた。
 それでも、尚香は一度出た言葉を取り消すつもりなどない。寝台の縁に腰かけた劉備の前にひざまずき、両手で柔らかく竿を握る。おずおずと顔を近づけていき――ほんの先端を、しかし確かに咥えた。
「おうっ……尚香殿、無理はしなくていいのだ……」
 声をかけると、尚香は軽く首を横に振った。
 着衣のままの自分の前で、全裸の尚香がひざまずいている。しかも、肉棒を咥え込んで。こんなことは仁に反する、夫婦らしくないと思いながら、征服欲はいやがうえにもそそられた。
「あ――んむっ、れろっ」
「う、くうっ……そう、できればもう少し奥まで……」
 尚香の初めての口唇愛撫はとてつもなく稚拙で、もどかしい。しかし、股ぐらを包むじんわりとした温かさは、どんな技巧にも勝った。尚香は言われるまま、夫の逸物を徐々に奥へと呑み込んでいく。どこが感じるかも分からず、やみくもに肉棒を舐める。
 それが、女日照りだった劉備にはこらえがたい刺激となった。予想以上の速度で、袋の煮えたぎる中身が上昇を始める。竿の中を駆け抜け、鈴口に殺到し――あふれ出した。
「い、いかん、尚香殿離れるのだっ」
 時すでに遅し。接吻さえ初めてだった尚香の口内に、暴力的なまでの白濁がぶちまけられる。
「ん、ん――っ!? んぶっ、んんんんっ」
 それがいかなる現象か分からないまま、尚香はまともにそれを受けてしまった。
(こ、これ、赤ちゃんの元? 尊いものだって分かるけど……だめ、無理っ!)
「げほげほ!! かはっ、はあっ、は――っ」
 飲めだのなんだの言う方が、男の身勝手というものだ。涙目になって吐き出す尚香の背中を、劉備はさすってやる。四つん這いになって苦悶するその姿さえ、劉備には愛おしかった。出したばかりだというのに、肉棒は再び怒張と化しつつあった。夫として、妻の操を我が物とするために。

 尚香に水を飲ませてやると、劉備もまた服を脱ぎ捨てた。筋骨隆々ではないが、均整のとれた男らしい肉体である。一糸纏わぬ二人が再び唇を重ねる様は、実に絵になった。
 尚香は、布団に横たえられた。視界いっぱいに、天を向いてそそり立つ劉備の怒張が飛び込んでくる。
 自分の中に収まるのか、不安で仕方ない。それでも、尚香は劉備の優しさを信じるしかなかった。
 尚香の手を握り締めながら、劉備は尚香に覆いかぶさった。濡れそぼつ姫割れに、いきり立つ切っ先をあてがう。それだけでもう、尚香はしなやかな裸体を固くこわばらせてしまう。
「き、来て、玄徳様……」
 ゆっくりと、腰を前に進める。やはり尚香の胎内は、愛らしいまでに温かく柔らかい。途中に、とりわけ狭隘な肉扉を感じ取った。日々の激しい運動にもかかわらず、それは幸か不幸か破れていなかった。
「すまない、少しだけこらえてくれ」
 純潔の証を、穿つ。
「ひいっ――」
 尚香の中で、決定的な何かが弾けた。悲鳴にすらならない。きつく歯を食いしばり、布団を破れんばかりに握り締めた。なおも挿入は続き、尚香は劉備にしがみつくほかない。劉備の剥き出しの背中に、赤い筋がいくつも刻まれる。同時に二人の結合部からも、鮮紅色の筋が一本流れ落ちていた。
「んはっ、あぐっ、うううっ」
 戦場でも泣いたことのない尚香が、我慢できずにうめき続ける。そしてようやく、すべてが胎内に納められた。
 劉備はそのことを告げ、尚香の髪を優しく撫でる。ぶわっと、弓腰姫の双眸から涙があふれた。
「わ、私たち……気持ちが通じ合ってるんだよね? それだけで、いいんだよね?」
「ああ。陣営同士の目的や思惑など、今はどうでもいいのだ」
 その証を注ぎ込むため、劉備は幸福感と罪悪感を共に抱きながら尚香を奥まで突く。
「おおっ、尚香殿、素晴らしい……私は、幸せだ」
「はうっ! き、気持ちいいの? 私の身体、ああぁうっ」
「ああ!」
 今は苦痛しかなくても、劉備が自分の身体に夢中になっているのはとても嬉しかった。彼の顔が徐々に、何かをこらえるような表情に変わって行くのが分かる。先ほど口内にぶちまけられたものが、今度は……そう考えるだけで、たまらない。
「玄徳様! 全部、私の中にあなたのすべてをっ」
「尚香殿、受け止めてくれ! うっ、ふおおううっ!」
 戦場以上に勇ましく吼えながら、劉備は最後の一撃を放った。硬さすら残る初々しい内部粘膜が、劉備の鈴口から根本までを擦り上げる。今度は我慢する必要などない。二人は、夫婦なのだから。白熱の奔流が再び竿の中を駆け昇り――ほとばしる。
「ああ、龍が……あたしの中で龍が暴れてる……」
 尚香は、苦痛と幸福が混然一体となった中で、急速に疲労が襲ってきた。もう一度、劉備に強くしがみつきながら、尚香はゆっくりと目を閉じた。

 そして、夫婦最初の朝が来た。
 窓から差し込む陽光の中で、二人は一つの布団にくるまり、尚香が淹れた茶をすする。
「き、昨日は……ああダメ、思い出すだけで恥ずかしすぎる」
 飲んだり飲ませたり、舐めたり咥えたり。激しい初夜を思い出し顔を両手で覆う尚香に、劉備は優しく微笑んだ。
「少しずつ、慣れていけばいい。だが、昨晩の尚香殿は……天下で一番素敵であったぞ」
 劉玄徳、いかなるときでもその言葉は王道一直線である。

 この後、二人は共に戦場で助け合っていく。互いを大切に思う心はますます強まり、夜のほうも激しさを増していくのだが、それはまた別の物語である。

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この物語のヒロインたちは、以下の作品にも出ています
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Written by◆17P/B1Dqzo