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孫尚香×星彩×稲姫

「はあああっ!」
 幾本もの矢が閃光と化し、妖魔どもの急所を寸分たがわず射抜く。にもかかわらず、本多忠勝の娘・稲の表情は険しい。鎧に覆われていない柔肌には、汗が玉となって浮かんでいた。
「くっ……この数を相手に、光秀様のところまでたどりつけるでしょうか……」
 そのとき死角から、一匹の妖魔が稲に斬りかかった。
 だが刃は、稲に届かない。
「星彩!」
 稲が振り向くと、星彩が盾をかざして受け止めていた。すかさず、手にした矛で妖魔を深々と貫く。その勇猛さは、彼女の父親・張飛を彷彿させた。
「あなたは私が守る。だから、あきらめないで。目の前の敵を討つことだけを考えて」
 星彩は前を向いたまま、淡々と口を開く。そんな彼女も、びっしょりと汗をかいていた。文字通り稲の盾になっているから、何箇所か手傷も追っている。それでも弱音一つ吐かない星彩を見ていると、稲の胸は熱くなるのだった。
(星彩、あなたに会えてよかった……)
 遠呂智なきあとの世界に現れた、新たな脅威――平清盛。謎に包まれたその正体と目的を探るため、稲と星彩は自ら情報収集の任務を引き受けた。
 そして、この五行山を通りかかったときのことだった。馬車で護送される明智光秀・ガラシャ親子を発見したのは。馬車の周囲には、妖魔どもが厳重な警備を敷いていた。
 稲と星彩が放っておけるはずもない。彼女たちは任務より守るべきもののため、敢然と飛び出した。
 一見すると、絶望的な戦い。だが、彼女たちもまた、父親たちの無双の力を受け継いでいた。少しずつ、馬車に肉薄していく。

「な、なんだあの女ども……ぐひゃっ!?」
 妖魔の首筋に、新たな矢が突き刺さった。それも、稲とは違う方向から。その姿を見た途端、稲の顔は喜びに輝いた。
「弓腰姫、孫尚香見参! 稲と星彩に手を出したら、承知しないわよっ」
「尚香! あなたも来てくれたの」
 孫尚香。孫堅のじゃじゃ馬娘は、稲と敵同士として出会い、幾多の困難を経て親友に、親友以上の存在になっていた。二人を心配した尚香は劉備の許しを得て、この地に駆け付けたのだった。
「ああ、尚香……私も負けない! 射抜くっ!」
「ブヒャアア!」
 図体のでかい猪の化け物が、全身に尚香と稲の矢を浴びて崩れ落ちる。イノシシが、ハリネズミになってしまった。
 尋常でなく張り切る稲を、星彩は黙って見つめていた。

 救出した光秀親子は、迎えにきた蜀本隊とともに先に下山。三人娘はしばしの休息ののち、揃って下山することにした。
 だが予想外の激戦で、三人とも疲労の色が濃い。それに年頃の娘としては、どうしても身体の汚れが気になった。たとえ、彼女達のかいた汗が、爽やかなものだとしても。
 と、先頭を行く尚香が何かを見つけたらしい。「あっ」と短く叫んだあと、木立の中へと馬を走らせる。ほどなくして、喜色満面で戻ってきた。
「ねえ二人ともこっち来て! 泉があったわよ! それも、綺麗で大きいのが」
 導かれるまま、稲も星彩も尚香の後についていく。
「本当だわ……」
「これで、一息つける」
 二人の顔も、思わずほころぶ。確かに木々の間に、冷たく輝く泉が姿を見せていた。
 急いで馬を下りた。泉の水を喉に流し込み、存分に渇きを癒す。細い喉が、コクンコクンと鳴らされる。火照った顔にも冷水を浴びせた。
「ふう――っ! 生き返るって、このことよね」
 そうすると、さらなる欲求が頭をもたげてくる。内なる声に一番正直なのは、尚香だった。
「せっかくだもの……よっ、と」
「ちょ、ちょっと尚香っ! 何してるのよ」
 稲が思わず大声を出してしまった。尚香が立ち上がり、薄手の上着をたくしあげたのだ。たちまち、発育良好な美乳がプルンと震えながら飛び出す。
「だって汗びっしょりだし。どうせこんな所まで、誰も来ないわよ」
 さらに、下も脱ぎ下ろしていった。引き締まり、ツンと上向いた桃尻があらわになる。靴まで脱ぎ捨ててしまった。
 稲は、尚香の裸体から目を離せない。今まで何度も、すみずみまで見ているけれど、戦のあとの彼女はいつにもまして美しい。これが二人きりだったら、理性がもったかどうか。そっちの趣味がなさそうな星彩のおかげで、どうにか牝獣と化すのを踏みとどまっていた。
 対照的に、星彩は無表情に泉を観察していた。
「この泉の淵は、確かに石で舗装されているわ。つまり、人の手が加わっている」
「ほ、ほら! 誰かが来そうなものじゃない」
 ところが、彼女の出した結論も尚香と同じだった。
「でも、長い間使われていないみたい。水も問題はないようだし、ここで戦いの疲れを癒すのも悪くないと思う」
 冷静に分析すると、星彩も矛と盾を置いた。黙々と、鎧に手をかけていく。脱ぎかたにも躊躇がない。
 あっという間に、星彩も一糸まとわぬ姿になった。前衛担当とは思えないほど、その肉体は細身で色が白い。精巧な人形を思わせた。ごく薄く生えた股の茂みが、生身の人間であることを主張しているようだった。
「星彩まで! もう、どうすればいいの……」
 稲だけが、そのままというわけにはいかない雰囲気だった。尚香は早くも裸体を躍動させ、泉へと飛び込んでいる。弓矢を置き、鎧の留め金を外す。藤色が鮮やかな袴も、ストンと地面に落ちる。肌着は着けていない。自然のままの茂みが、下腹部を豊かに飾っていた。
 こうして三人は、生まれたままの姿となって、しばしの休息に入った。

 水辺では彼女たちの乗ってきた馬たちが、のんびりと草を食んでいる。その傍らに、彼女たちの服が畳んで置かれていた。
 尚香は水の中に潜ったり、泳ぎ回ったりしてはしゃいでいる。彼女のいるところでは、盛大に水しぶきが上がっていた。
 星彩は無造作に、しかしすみずみまで身体を洗っている。それはもう、信じがたいほどすみずみまで。
 こんなところにも、それぞれの性格が出ていた。
 そして稲は長い黒髪をほどき、丁寧に手櫛を通していた。心なしか顔が赤い。
(私は本当に不埒な娘なのね。星彩と一緒に水浴びしていると思うだけで、胸が苦しい……ほら、こんな風に、鷲づかみにされるような、ってあれ?)
 そこでようやく気付く。稲は両の乳房を、背後からしっかりつかまれていた。
「きゃあっ!?」
 もちろん、犯人は尚香以外にない。
「あら? 稲、また大きくなったんじゃない? 羨ましいなあ」
 手のひら全体で優しくほぐすように、揉みしだく。弾力に満ちた二つの果実は、素晴らしい揉み心地だった。相手の悦ぶツボも押さえているから、稲もすぐにおかしな気分になってきてしまう。
「駄目よ尚香、星彩が見てる……」
 慌てて叫ぶ。裏を返せば二人きりなら構わないということなのだろうか。だが今は二人の妖しい戯れを、星彩がじっと見つめていた。にもかかわらず、尚香はあっけらかんとしてえらいことを言い放った。
「ちょうどいいわ。力を合わせて戦っていくんだから、お互いをよく知るのも大事よ。ねえ、星彩もそう思うでしょ?」
 星彩はしばらく沈黙していたが、やがて無言でうなずいた。
「あの、ちょっと?」
 水面を波打たせながら、静かなる女戦士は二人の元へと歩み寄る。戦士らしく引き締まり均整のとれた肉体を、稲は改めて凝視してしまう。同性の裸体に多大な興味を抱いてしまうのは、稲の困った癖だった。
「星彩……」
「尚香さまの言うとおりかもしれない。私、稲のことをもっと知りたい。稲は、嫌?」
「い、嫌ってわけじゃないけど……あっ」
 星彩が、真正面から稲の胸を、その発育ぶりを確かめるようにさすりはじめた。
「鎧の下は、こんなに立派だったなんて。正直、重くない?」
 唇が、頂へと吸い寄せられていく。見ているだけで、稲の心臓は激しく脈打つ。
「美味しそう……はむっ」
 乳首を、口に含んだ。軽く歯を立て甘噛みされ、舌先で転がされる。桜の蕾は、敏感にほころぶ。
「あ、あ! それ、いいっ」
「そう、気持ちいいのね」
 初めてとは思えないほど巧みな乳頭刺激に、稲は思わず快感を口走っていた。星彩はさらに、乳房全体をヌメーッヌメ―ッと舐め、唾液まみれにしていく。
「ふふ、星彩ったらもう夢中になって。やっぱり、稲のおっぱいは素敵よね……んちゅっ」
 その隙に、尚香は稲の顔を横に向かせ、唇を奪う。何度接吻しても、稲の唇の初々しさは変わらない。
「んん――っ……」
 稲も、徐々に理性が麻痺してくる。
 軽く合わせるだけの接吻が、徐々に舌が絡み合い、チュクチュクと唾液の音が立ってくる。乳首と、星彩の唇の間には、粘つく唾液の橋がかけられていた。同性の裸体に前と後ろから挟まれ、稲の頭に桃色の霞がかかってくる。
(い、泉の水のせいかも)
 そんな都合のいい水はない。

「ぷはあ! こっちのほうも、ね」
 稲の茂みは泉の水に濡れ、股間に藻のように張りついていた。生まれてこのかた手入れなどしたことがないから、伸びるに任せている。尚香はその豊かな陰毛を白い指ですき、星彩に舐めるよう促した。
「はい……」
 言われるまま、星彩は身体をかがめていく。頭だけを、水の上に出す形になった。顔の前に、こんもりと茂った毛の束が来る。
 星彩は女同士で愛しあった経験がない。同性の性器を舐めるという行為に、多少躊躇した。
「汚くなんてないわ。稲の身体に、汚い所なんてあるはずないじゃない」
「そうね……」
 尚香の言葉に勇気づけられ、舌を伸ばす。舌先が花弁に達すると、ゆっくりとその複雑な表面をなぞりはじめた。
「ひゃあっ! 星、彩っ……」
 たちまち秘所は匂い立ち、甘露をにじませる。なんとも形容しがたい味わいの体液を、星彩は思い切って嚥下した。
「んぷっ……これが稲の匂い、稲の味……濃密ね」
 星彩の熱い息が、稲の陰唇に吹きかけられる。稲は思わず、腰をカクカクと振っていた。
「ひっ!?」
 その腰が、さらに跳ね上がる。尚香が、尻の谷間にそっと指を差し入れ、菊門をつつく。
 背後からは尚香に尻穴を、正面からは星彩に花弁を可愛がられる。稲にとっては、夢のような状況だった。
「尚香! 星彩! わ、私っ」
 二穴がジィンと痺れ、足に力が入らなくなってくる。目にはいつの間にか涙が浮かび、視界がぼやけていた。このまま死んでしまってもいいと思えるくらい、息が苦しい。
「ふふ、そろそろかしら。稲が気持よくなっちゃうところ、しっかり見ててあげる」
「おかしくなってもいいわ」
「あ……あ……! 果てる、果ててしまううっ! イ……ああああ――――ッ!!」
 随喜の涙を流し、上下の口から涎を垂らし、稲は絶頂に達した。いきなり全身の力が抜け、前のめりに倒れ込みそうになる。
「おっと! こんなになった稲を見るのは、久しぶりね」
 水中に倒れ込もうとする稲を、尚香は慌てて背後から抱き止めた。
「私も、手伝います」
星彩と二人で、両側から肩を貸してあげる。その間にも、耳や首筋への接吻は止まらない。達したばかりの裸体が、余韻に震える。
「あ、駄目……あ、あんっ」

 赤、青、緑。色とりどりの服の上に稲を寝かせた。激しい絶頂の後で、乳房が大きく上下している。
「やっぱり、稲は綺麗」
 星彩は、無意識のうちに自分の唇を舐めていた。深い色の瞳が、情欲に濡れている。
 二人仲良く、稲をはさんで添い寝する。敏感すぎる部分は避け、ひたすら優しく肌に指を滑らせる。それでも稲は、時折悩ましげに体をくねらせる。よく川の字というが、これほど煽情的な川の字もない。
「さ、そろそろいいかしら。女の一番奥深いところで……ひとつになりましょ」
 稲がようやく落ち着いてきたところで、尚香は彼女の足首をつかみ、膝を曲げて開かせた。藻を纏わせた純朴な桜貝が、余すところなく露呈される。繊細にしてねちっこい愛撫のおかげで、稲の姫割れは失禁したように濡れそぼっていた。
「こうすれば、いいのね」
 星彩は尚香の教えに従って、稲の脚の間に身体を割り込ませた。さらに片足を抱えあげ、自分の肩に乗せる。くちゅりと水音が立ち、下の唇同士が熱烈な口づけを交わす。星彩は思わず、深いため息をついた。
「熱い……あなたと溶け合ってしまいそう……でも、それが私たちの希望」
「あふうっ! そ、そうよ、星彩。来て」
 星彩は腰をさらに、奥へと押し込み、さらに上下に振る。恥ずかしい体液は、ニチャニチャと淫らな音を立てて混ざり合う。豆と豆とが擦れ合うと、もうたまらない。
「んああ! せ、星彩、上手すぎるぅっ」
 美しき戦友に抱かれて、稲の嬌声はさらに切羽詰まった。
「やめる?」
 稲はハッとして、激しく首を横に振った。
「じゃあ、続けるわ。ふうっ……んっ……」
「あぁあっ、星彩、星彩いいっ……!?」
 ふいに、稲の視界いっぱいに肉が広がった。尚香の秘貝が、鼻先に突きつけられている。強い乳酪臭を漂わせている。二人の貝合わせを見ていた尚香も、我慢できず自分を慰めていたのだった。そして今、親友の顔面にまたがり、奉仕を望んでいる。
「もう、見てるこっちがドキドキしちゃう。私も仲間外れにしないで」
 稲はこくりとうなずくと、ためらうことなく舌先を伸ばした。滴る愛汁を、飲みくだす。それだけでなく、ぷっくり膨らんだ淫豆や、いたいけな菊門まで的確につつく。目の前に広がる彼女のすべてが、愛しい。
 三人の交わりはさらに熱を帯びていく。今、この瞬間だけは、世界に自分たちしかいないかのような錯覚にとらわれていた。
「駄目ぇ、また来ちゃうっ……今度は本当に、し、死んでしまう……」
「大丈夫よ稲、星彩っ……一緒に、ね……」
「ええ……私たちは、いつまでも……!」
 やがて五行山の空に、嬌声の三重唱がこだました。

「それにしても、星彩があんなに乗り気とは思わなかったわ」
 ようやく落ち着いた三人は、仲良く轡を並べて山を下りていく。
「私にも、よく分からない。ただどうしても、稲と深く分かり合いたくなった」
 事の後とは思えないほど、星彩はいつも通りに話す。あれほど淫靡で情熱的な彼女を見た者は、尚香と稲が初めてだろう。
「今は、勇気を出してよかったと思う」
「だってさ。良かったわね、稲」
「う、うん」
 ゆでたタコのように真っ赤になりながら、稲は二人といる幸せを噛みしめていた。

 以前にもまして息の合うようになった三人は、以後の清盛、そして復活した遠呂智との戦いでも大きな役割を果たしていくのである。

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Written by◆17P/B1Dqzo